いろいろ物議を醸したマニラ湾のホワイトサンドビーチがついにオープンした。2年前、マニラ市トンドの防波堤周辺で魚が大量死した時には「ホワイトサンドビーチに使われるドロマイト(苦灰石、白雲石)が湾に流れ出て、魚が死んだ。この砂は有害だ」といううわさが流れ、環境天然資源省が否定する事態となった。また、3億8,900万ペソを投じてビーチを造成する前に、マニラ湾の汚染対策にいくら使ったのかと批判の声もあった。

 

 

 

 しかし、工事中に一般開放された時には多くの人が訪れてホワイトサンドビーチがいかに人気かが判明。人々は懸念や文句を言ってボイコットするより、ビーチでの自撮りを選んだ。そして正式にオープンした今、ホワイトサンドビーチはすっかりマニラの人気スポットとなっている。

 

 

ここはハワイかボラカイか? マニラ湾の浄化を目的に造成されたドロマイトビーチの広さは、500メートル×60メートル。

 

 

ホワイトストーン・ビーチ?

 

 

 筆者も去る7月9日に行ってみた。午後2時、暑い最中にもビーチにはたくさんの人がいた。マニラ湾に昔あった岩場はなく、一面ビーチである。風が強く、潮の香りがする。数年前までゴミにまみれて悪臭が漂ってきそうだったマニラ湾からは、生まれ変わったようだ。

 

 

 正直言うと、私は砂浜を歩いてサンダルに砂が入り、足の指の間に砂が付くのが大嫌いで、ビーチが好きではない。しかし、このホワイトサンドビーチはそんな心配がない。なぜなら、水際は砂だが、大部分は白い石だから。そのままビーチに座ると、ゴツゴツとした石が当たって痛いが、仰向けに寝ると背中にほどよい刺激がある。ツボに効くのではと思えてくる。ビールでも飲みながらのんびりしたいところだが、ここは禁酒・禁煙。

 

 

世界三大夕日を見たいけど

 

 

 一度ビーチを出て、夕方5時30分すぎに戻った。目的は北海道の釧路、バリ島と並んで世界3大夕日の一つに数えられるマニラ湾のサンセットを見ること。ビーチは先ほどよりはるかに多い人でにぎわっていた。みんなサンセットが見たいのだ。子どもが海の浅瀬に入ったり、砂浜で穴を掘ったりして遊んでいる。海では魚も跳ねている。なんとこの砂浜で潮干狩りもできるらしく、貝を取っている動画もTikTokにある。マニラのど真ん中にありながら、意外にも自然に恵まれたビーチなのだ。

 

 

子どもたちが安心して泳げるくらいマニラ湾がきれいになりますように。

 

 

 日の入り時刻の午後6時29分まであと約30分。厚い曇に覆われて、残念ながら夕日は拝めそうにない。すると6時になるや、警備員がやってきて「ビーチから出てください」と追い出される。このビーチは午後6時で閉まるのだ。せっかくの観光スポットなので、サンセットを見ることができる時間まで開いていてほしいと思うのだが。

 

 

サンセットを見るために集まった人々。ビーチの入り口には飲み物や軽食の屋台も並ぶ。

 

 

名前はどうよ?

 

 

 ところで、このビーチの正式名称は、ザ・マニラ・ベイウォーク・ドロマイト・ビーチ(The Manila Baywalk Dolomite Beach )という。2020年12月の時点ではマニラベイ・サンズ(Manila Bay Sands)という名前がついていて、シンガポールのカジノリゾート「マリーナベイ・サンズ」に似ていて紛らわしかった。とはいえ、名前にドロマイトってわざわざ入れる必要があったのかとツッコミたくもなるのだが。

 

 

ビーチには以前と現在のマニラ湾の状況を比べる展示も。

 

 

 フィリピンといえばビーチ、ビーチといえばセブ、ボラカイのイメージが強い中、この都会派ドロマイトビーチがマニラのイメージアップに貢献することを期待したい。まずは、おしゃれなビーチバーでもオープンしてはいかがだろう。

 

 

 ザ・マニラ・ベイウォーク・ドロマイト・ビーチは、午前6時から午後6時まで開場。木曜日は整備のため入場不可。(T)