日本に住んでいれば時間厳守、なんなら5分前行動は当たり前と言われるが、一歩日本から出てみれば同じ常識が通用しないことが多々ある。例えばフィリピンには「フィリピンタイム」なるものがある。フィリピン人の友人が待ち合わせ時間までに来ることはまれだったり、仕事や家電の修理などがアポイントメントの時間に現れないといったことだ。基本的にどんな状況でもこのフィリピンタイムが発動する。筆者同様、フィリピン在住日本人ならフィリピンタイムによって頭を抱える状況になったことが少なからず1回はあるのではなかろうか。

 

 

 先日マレーシアに旅行した時のこと。行きの飛行機がニノイアキノ空港で5時間遅延した。台風が近づいていたことが理由かもしれないと思ったが、空港内のアナウンスでは「滑走路が混み合っている」とのこと。フィリピンはエドサ通りのように空港も渋滞? なぜ混み合っているのかまでは知らされなかった。いくらなんでも5時間の遅延はさすがにしんどい。せめて説明や何かお詫びをされるものかと思ったが、搭乗ゲートで待ちくたびれる乗客たちに配られたのはミネラルウォーターとクラッカーのみ。これだけ~? と心の中で文句をたれながらもありがたくいただいた。

 

 

 実は筆者がマレーシアに住んでいたころも「マレーシアタイム」という言葉が存在した。まだ起床したばかりで準備ができていないにも関わらず「On the way(今向かってるよ)」と友人に伝えるなんてことは日常茶飯事だったが、逆を言えばこの程度で、今思えばかわいいものであった。一方の「フィリピンタイム」はレベルが違うように思う。時間通りにものごとが進まないのは何も不思議ではなく、あまりにもフィリピンあるあるなのか、相手が遅れても直接文句を言ったり怒りをあらわにする人は今まで見たことがない。飛行機の遅延も、もし日本であれば、5時間も遅れようものならスタッフに怒り出したり文句を言いに行く乗客が少なからず1人はいそうだ。だがフィリピン人であからさまに感情をむき出しにして当たり散らすような人はいなかった。さすが、普段からのフィリピンタイムで慣れているのかもしれない。

 

 

 これを「時間を守れない」ととらえるのか、「何でも寛大に受け入れられる広い心を持っている」ととらえるのかは人それぞれだし、仕事かプライベートかでも状況は変わってくるだろう。しかし、この「フィリピンタイム」のような状況を受け入れ、楽しめてこそフィリピン通になったと言えるのかもしれない、とまだまだフィリピンに来て日が浅い筆者は思った次第である。(METR)

 

 

以前セブに行った時の空港。このときも遅延で5時間待った。