フィリピンで面接で自己紹介をお願いすると、そこまで詳しく説明していただかなくてもと、こちらが困惑することもある。(イメージ写真)

 

 

 数年前、フィリピン人の履歴書を初めて見た時は、驚いた。応募者の身長体重まで明記されていたからだ。身長はフィート、体重はポンドで書かれていて、ついでにフライ級、バンタム級と階級を明記してほしいくらいだった。身長体重まで記載するのはフィリピンの伝統的な履歴書の書き方で、最近は変わってきてはいるらしい。

 

 

 フィリピンで申請書類を記入する時に未婚、既婚、別居、離婚、ミドルネームの代わりに母の旧姓を書かされることもがあるが、日本人としてはまだ慣れない。

 

 

 時代とともに変化してきた履歴書といえば、特に日本の履歴書は激しく変わったと思う。昔は専用の履歴書の用紙があり、手書きが普通だった。就職活動の時、東京の私立大学付属高校出身の友人は出身高校を書くのに東京都私立から始まって普通科卒業までを含めると、約30字になってしまうと言って嘆いていた。当時は一文字間違っただけで、印象が悪くなりそうだからと修正液を使わず、一から新しい履歴書を書いていた時代。なんという紙の無駄、環境に悪いことをしていたのだろう。その点、今は一般に手書きではなく、履歴書のアップデートも簡単、Eメール送信で環境にもやさしい。

 

 

面接時間は応募者の自由?

 

 

 フィリピンでの採用業務で驚くのは履歴書だけではない。面接の時も驚かされることがあった。カジュアルな普段着で来たり、なんの連絡もなく面接に現れないのは驚くまでもない。

 

 

 以前、面接の時間とは全く違う時間に現れた応募者がいた。聞くと、地方の州からマカティに来るまでにどれくらいの時間がかかるかわからず、早朝に出たら面接の時間よりも3時間以上早く着いたのだという。遅れるよりは早い方がいいと考えたのかも知れないが、おそらく日本だったら、面接の時間までどこかで時間をつぶそうと考えるのが普通であろう。しかし、こちらも時間を大幅に繰り上げてこの応募者を面接した。ほかにもちろん時間通りに来社した応募者もいたのだが、結局この早く来すぎた応募者を採用することになった。

 

 

 また、指定の面接日時に現れず、数日後になんの前触れもなくやってきて「前の面接日は都合が悪くなったので、今日来ました」という応募者もいた。日本だったら失格となるのだろうが、こちらも面接をした。こんな、なんとも自由でおおらかなフィリピンの採用業務をひそかに好きだったりする。(T)