袋入りのインスタントラーメンといえば、主に忙しいときや小腹が空いたときにササッと家で食べるイメージがある。だが、日本では即席麺を各種そろえ、店で食べるインスタントラーメンバーなるものがかなり前から登場し、今も話題になるようだ。そして韓国では今このインスタントラーメンバー、またはラーメンコンビニが流行中なんだとか。こちらフィリピンでも最近、マニラ市マラテにNAEMBI Self Ramyeon Bar(ナエンビ・セルフ・ラーミョン・バー)がオープン。日本発のラーメンがすっかり定着したマニラで、次はインスタントラーメンブームが来る?
焼肉食べ放題に続く
韓流グルメ?
韓国料理が軒を連ねるマラテのコリアンタウン。それらの多くが焼肉食べ放題を目玉にする中で、1月下旬にオープンしたNAEMBI セルフ・ラーミョン・バーは異色の存在と言えるだろう。スタイリッシュな店内に入ると、韓国のインスタントラーメンが一面にディスプレイされた壁が目に入る。スーパーマーケットやコンビニでもおなじみの辛ラーメンをはじめ、その数50種類以上。フィリピンではあまり見られない珍しいラーメンもある。値段は70ぺソから140ペソ。店内には金色の鍋がところどころぶら下がっていたり、置かれていたりするが、これこそ店名のNaembi(냄비)、すなわち韓国語で鍋にちなんだオブジェとなっている。
これまで食べたことがないものを選ぼうと思ったものの、迷いに迷って選んだのは「長崎」という名のラーメン。説明には日本のラーメンスタイルと記載され、韓国のラーメンを食べるつもりが結局韓国ブランドの日本風ラーメンを選ぶことになった。よく見ると韓国のラーメンだけでなく、なぜかサッポロ一番みそラーメンや、シンガポールのラーメンもあった。
ラーメンの次はトッピング選びである。もやし、エノキタケ、チーズ、かにかま、なると、卵などが揃う。そして会計を済ませて、調理コーナーへ。セルフ・ラーミョンというので自分でつくると思っていたが、スタッフがつくってくれた。調理代は50ペソ。
即席麺の日韓戦を
マニラで楽しみたい
調理に使った金色の鍋をそのまま器に長崎ラーメンをいただく。リンガーハットの長崎ちゃんぽんを期待したのだが、インスタントラーメンゆえに当然ながらその願いはかなわない。しかし家で自分がつくったインスタントラーメンよりも、店でつくってもらった方がおいしく感じるのは気のせいか。
今でこそ、韓国料理店でインスタントラーメンが出て来ても驚きはしない。1990年代初め、まだ日本から韓国へ短期の観光でもビザが必要だった頃、ソウルのレストランでインスタントラーメンが出てきたのを見たとき、無知な私は「だまされた」と思ったのは懐かしい思い出だ。
年間1人当たりのラーメンの消費量は日本が48.2食なのに対し、韓国は76.2食で世界2位(1位はベトナムの86.4食、資料:世界ラーメン協会)。インスタントラーメン大国ゆえにNAEMBI セルフ・ラーミョン・バーのようなインスタントラーメンを主役にしたレストランが生まれるのであろう。とはいえ、ご存じの通りインスタントラーメンは日本で発明されたものだ。レトルトカレー、カニカマと並んで「戦後の食品三大発明」とされる。2匹目のドジョウではないが、いろいろな日本のインスタントラーメンを楽しめる店もマニラにできないものだろうか。(T)
(初出まにら新聞2024年2月24日号)