オンライン授業は大変? 楽しい?
フィリピンの学校でもオンライン授業が始まり、お世辞にもネット環境がいいとはいない中、先生も生徒・学生も苦心しているようです。 特に地方では、「シグナルが安定している場所探し」が大変。ミンダナオ地方のある州では先生たちは高速道路沿いからオンライン授業を行い、生徒は木の上でシグナルを確保して授業を受けたそう。
南コタバト州では4人の生徒が、シグナルは強いところを発見するや、その場所に竹とココナツの葉で小屋を建てて「教室」をつくりました。その教室では食事の準備もでき、宿題がある時は寝て泊まることもできます。楽しそうではありますが、小屋に4人で泊まったら、密室で過密な環境になってしまうのでは・・・・・・。
イロコス地方の大学に通っている友人は、9月中旬から始まったオンライン授業のため家にWiFiを引くのに四苦八苦。いろいろ確認して契約したはずの業者から工事の日になって「このエリアでは我が社のWiFiは使えません」と言われ、オンライン授業が始まる直前になって返金を求めたり、別の業者を探したりと大変だったと言っていました。
そして驚いたのは、この大学ではオンラインでも体育の授業があるそうです。課題として出されたダンスを踊り、録画して提出するのだとか。踊って動画を制作するのが好きそうなフィリピン人にとっては、楽しい課題でしょうか。(9月24日・デイリートリビューン)
家族のために自転車走破850キロ
ラグナ州サンペドロに住むピーター(19歳)の父親(62歳)は、タホ(豆腐とタピオカのデザート)を売る仕事をしていましたが、コロナ禍で仕事ができなくなりました。3月の防疫開始後、洗濯をして稼ぐ母親(60歳)の収入だけでは、家族が1日3食を食べることができる日はほとんどありません。ピーターは7人きょうだいの6番目。3人のきょうだいはすでに結婚し、自分の家族を養うのに精一杯です。
ピーターは家族を救いたい一心で、親戚からの援助を求めるためビサヤ地方東サマール州オラスへ向かう決心をしました。バスや飛行機に乗るお金はないので交通手段は自転車。サンペドロで車が故障して困っている人を助けた時、お礼にもらった4,500ペソで買った自転車です。9月12日、所持金150ペソと着替えのシャツ1枚を持ち、サンダル履きで出発しました。ヘルメットもありません。家族には東サマールに行くことを告げませんでした。
東サマール州への道中、水とファストフードを買ってお金がなくなると民家を訪ねて助けを求めましたが、ほとんどの家は拒否。自転車のタイヤが7回パンクしたり、オートバイに接触して事故を起こしそうになったり、また空腹とのどの渇きと疲労で気絶しそうになったことも2度ありました。ある時は自転車を奪われそうになり、涙ながらに事情を説明して見逃してもらいました。そんな中、15人以上から食べ物や水をもらうことができ、またある軍人はソルソゴン州マトノグ港からサマール島へ渡るフェリーに乗れるよう援助してくれました。
走行距離850キロメートル以上、東京都新宿区から広島県広島市に相当する距離を自転車で走り、出発から10日後の9月21日午後7時に東サマール州の検問所に到着しました。しかし、ピーターはコロナウイルスの検疫証明書など必要書類を持っていません。検問所の係官はピーターが極度の空腹と疲労状態にあることに気付き、すぐに食べ物と水を与え、その後、隔離施設に収容されることになりました。85歳の祖母に会うことができたのは着いてから14日後です。
9月下旬、「インクワイアラー」紙の電話取材に対し、ピーターは3月にロックダウンが始まってからいかにラグナ州サンペドロでの生活が苦しくなったか、家族は東サマール州オラスに戻りたいと思い続けているが、実現できないでいることを話しました。そして、空腹に苦しみ、今住んでいる家からの即刻退去も迫られている家族を助けるために、親の故郷の東サマールの政府に支援を直訴したいと語りました。(9月25日・インクワイアラー)
グローブ・テレコム、ファーウェイ製品差し替え
通信大手グローブ・テレコムは、欧米と中国ファーウェイとの対立が激化する中、ファーウェイ製品の使用をやめ、他社製品に差し替え始めています。グローブではファーウェイ製が80%を占め、残りがエリクソンやノキアとなっています。ファーウェイがスパイ行為の疑いがあることから、中国のブランドではない製品に切り替えていくということです。
一方、同社は5G製品の投入においてファーウェイと合意しています。グローブの関係者は「ファーウェイが5Gにおいて業界を先導しており、5G導入によってフィリピンのネット環境の改善が期待できる。セキュリティにおいては米国とイスラエルの専門家に依頼し万全を期す」と述べています。
下院では、情報通信業界に100%外資企業の参入を認める案についても議論されています。昨年7月に政府から第3の通信企業として認可を得たディトテレコミュニティー(Dito Tele Community)は中国企業が資本40%を保持する会社です。
グローブテレコムのファーウェイ排除と5G導入、通信事業への100%外資の参入認可、これらがスマートな選択となるかどうか・・・・・・。(9月24日・デイリートリビューン)