まだまだ暑いマニラ。こんなときは怖い話がピッタリということで、フィリピンのホラーな話題をお届けします。お化けや幽霊よりも、治安が悪化した現実のマニラの方が怖い……。そんな声も聞こえてきそうですが、フィリピンについての知識を深めるため(?)ぜひお付き合いください。まずは、フィリピンの民話や都市伝説に出てくる怪物や妖怪を紹介します。目撃した人もいるらしいので、本当にいるのかも……。Illustrations: Toni Rose Lagare
アスワン
Aswang
フィリピンで最も有名な妖怪。昼間は普通の人間の姿をしているが、夜は恐ろしい妖怪となり、人間の血を吸い、内臓をむさぼる。胎児を好むという。人間を襲うときは、鳥や犬、豚に化けて付きまとう。吸血鬼同様、ニンンクや塩、お守りを嫌う。ビサヤ地方カピス州ロハス市は「アスワン・キャピタル」を標榜し、アスワン・フェスティバルが開かれたことがある。

Photo taken at Book Museum cum Ethnology Center
ティクバラン
Tikbalang
馬の頭、人間の上半身、馬の下肢を持つ。山に住み、侵入者を監視し、森の中で迷わせる。ティクバランの妖術にかかった者は、同じ道を何度もぐるぐる歩き周ることになる。シャツを裏返しに着ると、妖術に惑わされないという。

Photo taken at Book Museum cum Ethnology Center
ティヤナク
Tiyanak
人間の生き血をすすり、その肉を食べる怪物。ジャングルの中で生まれたばかりの赤ちゃんの姿をして泣き叫び、泣き声を聞いて探し出そうとする心やさしい人をおびき寄せる。そして、ティナヤクを見つけて抱き上げると、襲いかかり食べてしまう。

Photo taken at Book Museum cum Ethnology Center
マナナンガル
Manananggal
コウモリの翼を持つ空飛ぶ吸血鬼。美しい女性の姿をしているが、夜になると下半身を切り離し、上半身だけになって眠っている妊婦を探す。そして腹に長い舌を突き刺し、胎児の血を吸う。退治するにはマナナンガルがどこかに残してきた下半身を探し出し、塩またはニンニクをふりかけるのが良いとされる。
カプレ
Kapre
古いバレテの木に住むという巨人。身長2~3メートル、褐色の肌を持ち毛深く、たばこ好きで強いにおいを放つ。人間の目には見えないが、たばこのにおいや、気配で存在がわかる。人の心を惑わせる力を持つ一方、人間や家畜を見守る守護神ともいわれる。
ディワタ
Diwata
スペイン統治時代以前から、フィリピンで言い伝えられてきた妖精。美しい女性の姿をして妖精の世界へと人を誘い、ついていった人は二度と人間の世界に戻ってくることはないという。ラグナ州にあるマキリン山にはディワタが住んでいるといわれる。

Photo: CC BY 3.0 Alternativity
ドウエンデ
Duwende
小人の姿をした妖怪。木や地中に住む。嫌いな人間には災難が降りかかるようにし、気に入った人間には贈り物をする。ドウエンデを敬い、食べ物を与える者には幸運をもたらすとされる。

Photo: CC BY-SA 2.0 René Mayorga
ムウルト
Multo
タガログ語で幽霊、亡霊をムウルトと呼ぶ。フィリピンには幽霊が出るといわれる場所が多く、国内最古の大学であり、第2次世界大戦中は収容所として使われたサントトマス大学もその1つ。
マンククラム
Mangkukulam
フィリピンの魔女。人に呪いをかけ、病や苦痛、不幸をもたらす一方、癒す力も発揮する。ビサヤ地方シキホールは魔女が住む島として有名。
ホワイトレディ
White Lady
白いドレスを着た長い髪の女性の幽霊。タクシー運転手が女性を乗せて走っている最中、後部座席を見ると血まみれの顔の女性が現れる。マニラ首都圏ケソン市のバレテ・ドライブ通りで10代の少女が夜中にタクシーにひき殺され、バレテの木の近くに埋められたという事件があり、その被害者がホワイトレディとなったという話がある。