「ホワイトアイランド」。潮の満ち引きで三日月や蛇の形にと微妙に変わる。
ミンダナオ島とボホール島に挟まれたカミギン島はセブから南へプロペラ機で約50分ほどのところにある、真珠貝の形をした小さな火山島だ。フィリピン国内にある火山の3分の一近くがこの島にあるとも言われており、19世紀の噴火で生まれた「オールド・ブルカン(古い火山)」とか「ヒボック・ヒボック火山」など、火山の名が付いた山がある。
島の外周道の全長は70キロ弱。バイクで走れば3時間もあれば一周できる距離である。
島民がみんな「フィリピンでいちばん安全な島」と胸を張るくらい、犯罪件数が少なく旅行者にとって安心の島であるという。カミギン島に限らないが、道で会う人たちはとてもフレンドリー。カミギン島はその秘めた自然の美しさからツーリストの間で「いちどは行ってみたい楽園の島」とも呼ばれている。
島の北端のマンバハオ町がカミギン州の州都(島が一州を成している)。同町には病院や州庁舎、カミギン飛行場がある。セブ・マクタン国際空港とカミギン島を結ぶセブパシフィックの直行便が就航している。
州都マンバハオ町から島を西に行くとアゴホ町やユンビン町にかけて海岸線に沿ってビーチリゾートやダイビングショップ、レストランが並んでおり、ツーリストに人気の場所である。ユンビン町にあるパラス・ビーチリゾートから4、5人乗りバンカで10分ほど沖に出たところにあるのが白砂の砂州、「ホワイトアイランド」だ。潮の満ち引きの具合で三日月や蛇の形に砂州の形が微妙に変わる。透明度が高いのでスノーケリングを楽しむ観光客が多い。火山が多いため温泉も湧いている。
島の西北のボンボン町にあるのが海に沈んだスペイン人墓地「サンケン・セメタリー」だ。1871年から数年続いた地割れに始まった大噴火は、溶岩流と火山灰を吹き出して町の教会や女子修道院、鐘楼を埋め、現在のオールド・ブルカン山の火山体が形成されたらしい。その一方で、噴火に伴う地盤沈下で町にあった墓地は墓碑をわずかに海面から覗かせる程度まで海に沈んでしまった。1980年代に入って固まった溶岩の岩盤の上に現在の巨大な十字架が建てられ、カミギン島のシンボルとなった。すぐ足下のビーチの砂は黒っぽい色をしている。火山灰の色という。
島はまた熱帯フルーツのランソネスの名産地としても知られている。10月には毎年ランソネス祭りが開かれ、内外からたくさんの観光客がこの小さな楽園島を訪れる。
◎ Navi Manila Vol.27 より