開放的な雰囲気の中に、食べ物や雑貨を扱う個性的な屋台が立ち並ぶ。ショッピングモールとは違う魅力が詰まったマーケット。マニラ首都圏のあちらこちらで開かれていて、いつも多くの人でにぎわっている。自分が住んでいる街の行きつけのマーケットもいいけれど、たまにはちょっと足を延ばして違う街のマーケットを訪れてみると、きっと新しい楽しさに出会えるはず。今回おすすめしたいのはマンダルーヨン市のグリーンフィールド・ウイークエンド・マーケット(Greenfield Weekend Market)。12月30日、31日も開催されるので、気軽に出かけて気ままにひとときを過ごしてみては?
目印は白いテント
グリーンフィールド・ウイークエンド・マーケットのいいところを挙げるとしたら、まずアクセスが便利なこと。車でも行きやすいが、MRTショウブルバード駅を降りてほんの5分ほど歩けば、白いとんがり屋根のテントが、広場を囲むように立ち並ぶ光景が見えてくる。背景は広い空に高層ビル。週末の都会の中に現れたオアシスのようなスポットだ。2000年代のヒット曲を中心に流れるBGMもセンス良し。
白いとんがり屋根のテントは約20軒の屋台。フィリピン料理、巻き寿司やたこ焼き、韓国料理、メキシカンなど多国籍で多彩なストリートフードがそろっている。だいたい1品100ペソから200ペソ台が多くお手頃だ。目に入った屋台料理を手当たり次第に食べて行きたい衝動に駆られるが、お腹と財布のことを考えて、まずはぐるっと1周して何があるかを見よう。
多国籍な屋台料理
筆者は、バター・エイジド・ステーキ(Butter aged steak)にしようかフィッシュ・アンド・チップスにしようか迷ったが、最近魚を食べていないこともあって後者にした。野菜も不足していることに気付き、緑黄色野菜煮込みピナクベットも食べることにした。ピナクベットは目の前の大皿に盛られているのをそのまま買えるが、フィッシュ・アンド・チップスは調理のため15分ほど待ち時間を要す。看板に出ていたメニューの写真と比べてチップスはまあ同じであるが、フィッシュの方は看板に偽りありと思わざるを得なかった。小心者の私は突っ返すことはしなかったが。
このマーケットではアルコール飲料を売っていないので、ビールと一緒に楽しむことはできないのが残念。こんな私のチョイスとテーブルに座って食べる私を見て、同行したフィリピン人はプッと冷笑し、「変な組み合わせ。普通に家で食事しているみたい」とつぶやくが、大きなお世話である。そういう本人は、串焼きBBQや、韓国料理屋台のフィッシュケーキ、イロコス・エンパナーダなど定番屋台メニューを食べていた。量は抑えていろんな種類を食べるとは、食べ歩きの極意を心得ているようである。食べ物のほかにも雑貨やアクセサリー、本などを売る屋台もある。思わぬ掘り出し物に出会えることを期待したい。
週末の夕暮れはにぎやか
マーケットは土曜日、日曜日の午後4時から深夜12時まで開かれる。早い時間は人もまばらだったが、午後5時頃からだんだんと人が集まってきた。日が暮れるにつれてライトアップされ、ナイトマーケットの雰囲気がつくられていく。活気に満ちた、祭りのような雰囲気が漂うマーケットというよりは、ゆったり広い敷地で、どこか洗練され、落ち着いたグリーンフィールド・ウイークエンド・マーケット。週末に子どもと一緒に訪れるのにも安心だ。
ウイークエンド・マーケットに訪れるのは、見たところ地元の人が多いようだが、マニラを訪れる旅行者にもおすすめしたい。例えば、近くにある巨大なSMメガモールを堪能した後に訪れて、地元の人に混じって屋台料理を楽しむのはきっといい体験となるに違いない。(T)
(初出まにら新聞2023年12月2日号)