はじめまして、 東京上野マイホームクリニック院長の伊藤実喜(みよし、友人はジッキ〜と呼び、私のアシスタントとしていつも中指にいる大きな目玉のおもてなし担当/写真)です。約30年、フィリピン各地でさまざまな病気を治療してきました。フィリピンはウイルス、細菌、寄生虫が繁殖しやすい環境にあります。本コラムでは、まず4回にわたって感染症について解説し、今回は経口感染(食中毒)です。
食中毒はなぜ発症する?
食中毒の症状は腹痛、発熱、嘔吐、下痢です。基本的に細菌やウイルスに汚染された飲食材を口から摂取したことが原因です。腹痛や発熱から始まり、身体は汚染物を排泄するので、口から(嘔吐)とお尻から(下痢)出すことになります。
細菌は感染型と毒素型に分類され、感染型は細菌が体内で細胞分裂をして症状(腹痛、嘔吐、下痢)が出るには時間がかかり、約6〜12時間後に発症します。代表的な細菌はサルモネラ菌(鳥肉、卵、豚肉、牛肉)と腸炎ビブリオ菌(海中に多く、魚や貝類の刺身やすし)。
毒素型は細菌が毒素を放出し、3〜4時間以内の短時間に発症します。主な細菌は黄色ブドウ球菌(手作りのおにぎり、弁当など)やボツリヌス菌(汚染された缶詰、真空パック食品)やO157(ベロ毒素)など。激しい腹痛と下痢(ひどいと血便)が特徴です。カキなどの2枚貝ではノロウイルス感染による激しい下痢(24時間ほどの潜伏期間)を伴います。
何に注意する? 予防法
手洗い、食材の充分な加熱処理、食べ残しは保存しないが大原則。
❶水道水は信用せず、飲用は市販のペットボトルの水を。シャワーで体を洗うのはOKですが、うっかり口から飲む場合もあるので注意。
❷カットフルーツは要注意。果物は自分で切って食べる。
❸屋台料理は目の前で火を通したものを選ぶ。
❹瓶ビールなどの飲み口は飲む前にアルコールティッシュで消毒。
❺氷は水道水が使われていることが多いので注意。
もし感染したら?
①安静とおかゆ
②水分補給、脱水予防③整腸剤が原則。抗生剤や整腸剤、痛み止めを用意しましょう。フィリピンの薬局で水分補給にゲータレード(500ml)、ハイドライト(Hydrite)、整腸剤ブスコパン(Buscopan) やエルセフロラ(Erceflora) を買えます。
このほかおすすめなのが「焼きバナナとシナモンシュガー」(写真)。皮ごとオーブントースターで20分ほど焼くと皮が黒くなり、ジューシーでトロ~リ柔らかく甘いバナナに大変身します。その甘みがオリゴ糖で、さらにシナモンシュガーをかけると善玉腸内細菌のエサとなって、下痢や腹痛を改善してくれます。ぜひ身近なバナナを活用してください。