観光客が戻ってきた
バギオは、10月末から観光客の受け入れを少しずつ始めている。市は「新型コロナがなくなったから開放するわけではありません。経済のためです。手洗い、マスク着用、ソーシャル・ディスタンスを続けましょう。混雑を避け、家にウイルスを持ち帰らないように」という広報を大々的に行った。「自己責任」での開放だ。一方、 観光客は「待ってました!」とばかりに続々と訪れ、1年半ぶりに市の中心のバーンハム公園の池には白鳥のボートが浮かび、貸自転車を乗り回す人々でにぎわっている。
バギオ市政府は以前から、毎週日曜日に目抜き通りのセッション・ロードを歩行者天国にしてテント・ブースを設置し、農業や手工芸品職人の組合や小規模店舗などに無料貸与してきた。店舗の間は5メートルはあり、混雑しないように配慮されたサンデー・マーケットである。同じくセッション・ロードのショッピングセンターのポルタ・バガ(Porta Vaga)にも、貿易産業省(DTI)のサポートで「ラヤド・ディ・コーディリエラ」(Layad di Kordilyer、ラヤドは愛という意味)という手工芸品販売店の展示・出店スペースが開設され、観光客はショッピングを楽しんでいる。
個性的なこだわりの製品
これらの店で、マニラからでも購入できる個性的なバギオのローカルギフトを探してみた。クリスマスにいかがだろう。ラヤド・ディ・コーディリエラで目を引くのは、先住民族伝統の刺青の模様にインスパイアされた細かい模様を竹に刻んだ「ロビーズ・ピック」(Roby’s Pick)の手工芸品。ウォーターボトル、ケース入りボールペンなど、ギフトにピッタリな製品がそろっている。
アーティストのロシェル・バキサンによる布製品中心のクラフト・ショップ「ボスレイ・アーツ・アンド・クラフツ」(Boslay Arts and Crafts)の素朴なコーディリエラ人形は、ぜひお子様のお土産に。ルソン島北部の手織布のパッチワークで作ったカラフルな帽子もおすすめ。組み合わせがいろいろのパッチワークだから、世界に同じものが2つとない特別なギフトとなる。
日常で使えるものを贈りたいなら、「アンパロズ・アポセカリー」(Amparo’s Apothecary)の手作りせっけんやスキンケア商品を。キャンプ・ジョンヘイ内や、ポルタ・バガ・ショッピングセンター1階のエレベーター脇に小さな店がある。航空会社の客室乗務員だったアンパロさんが乾燥などの肌の悩みを解消するために、2014年にバギオで創業したスキンケアブランドだ。添加物を使わず肌と健康に良い素材だけを選び、顧客の声も取り入れた製品はラインナップも豊富。クリスマス用ギフトは好きな製品を詰め合わせることができ、再利用可能なキャンバス地の巾着袋入りで環境にも配慮している。
作り手のこだわりやあたたかみが感じられる雑貨は、コロナ禍の中、がんばってきた大切な人への贈り物にピッタリ。これらを購入することは、バギオの地元経済の支援にもつながる。また、12月13日までネイビーベース・バランガイのバークレースクールではマンデコキト(Mandeko Kito) アート&クラフトフェアも開催中だ。
市場の一番の人気者
ちなみに、前述のサンデー・マーケットの一番人気は何かご存知だろうか。答えはウサギ。生きているかわいいウサギを展示販売している「ジラビトリート」(G’Rabbitreat)の前は、いつも人だかりができている。もともとウサギは農務省が食肉用に飼育を進めてきた歴史があり、バギオ市内にはウサギ肉ハンバーガーが名物のローカルカフェもある。ジラビトリートもウサギ肉販売を目的に出店したのだが、コロナ禍で在宅時間が長くなりペットを飼いたい人が続出し、意外なウサギの需要を発見したのだという。売り場ではウサギの餌やおりなどと一緒に、肥料に最適というふれこみで、ウサギのふんや尿も販売しているのが、なんとも観葉植物栽培が盛んなバギオらしい。
環境 NGOコーディリエラ・グリーン・ネットワーク(Cordillera Green Network / CGN)代表。Kapi Tako Social Enterprise CEO。山岳地方の先住民が育てた森林農法によるコーヒーのフェアトレードを行う社会的企業を運営。
Yagam Coffee オンラインショップ https://www.yagamcoffeeshop.com/
コーディリエラ・グリーン・ネットワーク https://cordigreen.jimdofree.com/