【セブ通信】 アイデンティティーを育てる授業補習校

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2021年6月8日

 

蝶谷 正明(セブ日本人会)

 

 

 セブには、日本人補習授業校があります。マニラの日本人学校とは異なり、授業が行われるのは土曜日の午前中3時間のみ。日本のカリキュラムに沿って習う「教科書クラス」と、日本語能力が充分ではない児童・生徒のための「日本語クラス」があり、小学1年生から中学3年生が学んでいます。日本文化に触れることが日本人としてのアイデンティティー形成に重要というポリシーに基づき、正月やひな祭り、七夕などの行事も積極的に取り入れています。

 

 

 

 補習校は1983年、まだ小さかった日本人コミュニティーの有志によって設立され、当時は家を教室に数人の子どもたちを教えていたそうです。その後日本政府の援助を得て、日本人の数も増え、最盛期の2010年代前半には130人が学び、世界の日本人補習校の中でも中くらいの規模になりました。しかし、近年は家族を帯同する駐在員の減少、東日本大震災の影響による親子での語学留学ブームの沈静化、さらにコロナ禍によって現在の生徒数は20人です。

 

コロナ禍前の対面授業での日本語クラス

 

 2020年9月からはオンライン授業に転換しました。オンライン授業を始めるに当たっては、ネット環境への不安など講師も手探り状態でしたが、家庭の協力もあり、満足度の高い授業が提供できるようになりました。また、オンライン授業により、マンダウエ市の校舎までの通学が困難だった遠隔地の子どもたちにも日本語教育の機会を提供できるメリットも生まれています。現在、マニラ、ネグロス島、さらに日本へ一時帰国をしている人も授業を受けています。

 

 

 2020年の卒業式と入学式はコロナ禍で開催できず、補習校の校長として残念で口惜しい思いをしましたが、今年は川崎敏秀総領事にもご出席いただき、オンラインで実施できました。日本人コミュニティーの先輩たちの遺志を継ぎ、セブの補習校はこれからも頑張ります。