【セブ通信】ジャックフルーツの季節到来

この記事をシェア

2021年7月7日

蝶谷 正明(セブ日本人会)

 

 

 

 この原稿を書いている5月末、セブは乾季から雨季へと変わる最中。セブでそんな季節の移り変わりを感じさせてくれるのが、道端の屋台で売られている巨大なジャックフルーツです。薄汚れた緑色の米俵のような形で大きいものは1メートル近くのものが縦に切られて売られています。スーパーマーケットでもパックされて並んでいます。 

 

 個人的には濃厚な黄色でベトベトとした手触りの、なんとも形容しがたい臭気を放つ完熟したものが大好きですが、未熟な時の風味も捨てがたいものがあります。タケノコとイモを合わせたような(?)食感と、クセのない食味はしっかり味付けしてこそおいしくなるようで、我が家ではスリランカ風のカレーに入れて楽しみます。中の種はゆでるとホクホクして栗のような味わいがあります。

 

 

 ジャックフルーツはドリアン同様に日本人の間では好き嫌いがはっきり分かれますね。ドリアンは食べられるけれど、ジャックフルーツはだめという人もいます。

 

 インド圏の古代語の一つパーリ語で仏道修行のことをパラミツと言い、古来この単語がジャックフルーツを意味してきました。現在でもスリランカなどでは2000年以上前の名詞がそのまま受け継がれています。仏教に馴染みはなくても般若心経の一節「般若波羅蜜(ハンニャハラミタ)」を耳にした方も多いと思います。仏教がインドから中国に伝わって漢訳され、パラミツが波羅蜜に転じたと古代仏教の研究者から聞いたことがあります。ジャックフルーツは果物、野菜の中でも重要視されていたのでしょう。

 

 家の裏庭にジャックフルーツの木が1本そびえています。4月頃になると、幹から垂れた細い枝に果実が実ります。10センチくらいの小さいうちは虫害や真っ黒なカビが生えてしまうので、間引きして袋で包んで育てて、収穫は7月頃 。さて、ちゃんと育って食べることができるでしょうか。

 

庭のジャックフルーツ。害虫除けの袋の中で生育中。大きな袋の中はラグビーボールよりひとまわり小さい大きさ。

Advertisement