【セブ通信】コロナ禍の植物栽培ブーム

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2021年8月3日

蝶谷 正明(セブ日本人会)

 

 

 コロナ禍が始まってあっという間に1年5カ月が経ちました。この間、良くも悪くもさまざまな社会的な変化がありました。その一つが植物栽培ブームです。

 

 

 かつてはモールで根付きの植物を売っている店は1軒あるかないかでしたが、一般コミュニティ防疫に移行したあたりから急増し、スーパーマーケットの一角や道端でも見かけるようになりました。過当競争ではと勝手に心配しましたが、撤退した店が少ないので、それなりにビジネスとして成り立っているようです。

 

 

 こうした店では中流層以上をターゲットに、室内やベランダで楽しめる観葉植物と付属品、そして栽培用の土をメインに扱っています。日本のホームセンターと同じレベルのお洒落な品もそろえていますが、値段もそれなりにします。

 

 

1年前に10cmほどの挿木をしたポトス。直射日光も肥料もなく丈夫に育つ。無精な人にも最適

 

 実はセブでは一戸建てに住んでいても栽培用の土を買う場合が多いのです。島全体が隆起したサンゴ礁と石灰岩からできていて、昔から農業に適していませんでした。我が家でも庭に直接、種を蒔いたり苗を植えたりしましたがほぼ全滅。結局、栽培用の土を使った鉢植えが安全確実な方法となります。手入れに手間のかからないサボテンやエアープランツ、水栽培もよく見かけます。通販で本格的な植物育成用の照明器具も手に入ります。

 

 

 もともとフィリピン人の間では猫の額のような庭(?)で鉢植えを楽しむ習慣や、「BONSAI(盆栽)」が語彙として定着していました。しかし、このコロナ禍で植物の栽培熱が一気に盛り上がった感があります。都市部には公園がないため緑に触れる機会が少なく、また、コロナ禍による長い巣ごもり生活によって、人々は暮らしに潤いを求めるようになったのでしょう。

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