フィリピンに暮らして気になるモノ・コト

 

 

 

 自炊といえばカップラーメンとトーストぐらいしかできない私も、コミュニティー防疫中に、料理に挑戦してみた。

 

 冷凍庫に魚の切り身があった。スーパーマーケットの冷凍食品売り場でよく見るクリーム・ドリー(Cream Dory)という白身魚である。いつ、なぜ買ったのかも不明だ。

 

いつどこで買ったのかも忘れた魚の切り身

 

 海外にいる友人とWhatsAppで電話している時、この魚をどう食べるか相談すると、プアマンズ・ロブスター(Poor Man’s Lobster )という料理を提案された。作り方を説明するYouTubeもある。本来はタラやオヒョウを使うようだ。必要な食材も少なく、切ってゆでるだけ。プアマンズ・ロブスター、すなわちロブスターを買えない人の料理という意味なのだろうが、ちょっと失礼な名前である。食べたところで私もロブスターなどはるか昔に食べたきりなので、味が似ているかどうかもわからない。

 

 

ロブスターを買えない時のために「プアマンズ・ロブスター」のつくりかた 【食材】白身魚のフィレ(タラかオヒョウがおすすめ)。レモン1個。砂糖1カップ。バター 【つくりかた】①鍋3/4ほどの量の水を入れ、沸騰させる。②レモンを半分に切って鍋に入れる。砂糖を入れて溶かす。③白身魚を約3センチ角ほどに切って鍋に入れる。魚を入れたらかき混ぜない。 ④切り身が浮き上がってきたら、取り出してペーパータオルの上で水分を切る。 ⑤溶かしたバターにつけて「おお! まさにロブスター!!」と思っていただきましょう。

 

               

 

 このクリーム・ドリーという魚を調べてみると、ベトナム産のパンガシウス(Pangasius)というナマズだった。最近は日本でも売られているという。私はオーストラリアなどでジョン・ドリー(John Dory)と呼ばれるマトウダイの種類をフィリピンでクリーム・ドリーと言うのだと思っていた。

フィリピンでクリーム・ドリーと呼ばれるナマズの仲間、パンガシウス

オーストラリアでジョン・ドリーと呼ばれるマトウダイ

 

 

 魚の名前を商業目的で変えることはよくある。日本でティラピアがチカダイやイズミダイの名前で流通するのも、なんとなくタイに似ているのでわかる。しかし、クリーム・ドリーがナマズとは・・・。フィリピン料理のナマズ丸揚げに使うナマズは、タガログ語でヒト(hito)。風貌は日本のナマズそっくり。同じナマズのパンガシウスをなぜクリーム・ドリーと呼ぶのか? ナマズをヒトと呼ぶのも、パンガシウスをクリーム・ドリーというのも、なんだか人を食った話である。(T)