ブラカン州で酪農を始めてはや5年半…協力隊員時代に培われた「無ければ工夫して何とかする」

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2017年3月30日

 

「逆境にめげない」力をいかんなく発揮、困難乗り切る。
by: 八巻久美子(ブラカン州在住)

 

 ここフィリピンで、酪農を始めてからはや5年半が経ちました。振り返ってみれば、あっという間の歳月でした。私達夫婦が、フィリピンで酪農を始めることを決めたきっかけは、私が青年海外協力隊に参加したことでした。日本の牧場で、牛の人工授精師として働いていた私は、高校生の時から抱いていた「海外で生活する」という夢を叶えるべく、青年海外協力隊への参加を希望しました。派遣先はフィリピンの農業省国家家畜人工授精センター。異文化の中で、自分にいったい何ができるのかと大いに悩み、また非常に多くのことを学んだ二年半でした。この隊員時代に、日本で同じ牧場で働いていた今の旦那が私を訪ねて来比し、フィリピンの酪農事情を知るにつれ、「こちらでやってみたほうが面白い」と言い出し、二人でやってみることになったのです。

 

 そのフィリピンの酪農事情とは、まず牛乳の自給率がたったの2パーセントであり、輸入もののロングライフ乳や脱脂粉乳を水で溶いたようなものが「フレッシュミルク」として常温でスーパーの棚に並べられ、日本で牛乳を買うのと変わらないくらいの値段で売られていること。他にもフィリピンは人口が増加傾向にあり、牛乳の消費人口は確実に増えていくであろうことや、事業をするにあたり、日本に比べて初期投資が安価に抑えられることも、私達の決断を後押ししました。

 

 しかし、いざやってみるとなかなか思うようにいかないことの連続でした。まず、牛乳自給率が2パーセントの国であるため、酪農に必要なものを入手することもままならなかったり、日本ではあまり見かけなくなったような病気に牛が罹ったり……。しかし、そこは協力隊員時代に培われた「無ければ工夫して何とかする」「逆境にめげない」力をいかんなく発揮してここまでやってきました。現在では、生乳の販売だけでなく、ヨーグルトやアイスクリームの製品化、牛肉の販売なども始めることができるようになってきました。

 

 今まで沢山の苦労を経験してきた私たちですが、事業をするにあたって、何よりも大変なことは、「継続していくこと」だと痛感しています。事業を始めることも、経営者になることも、今思えば、ちっとも大変なことではなかったです。事業を継続していくために、利益を上げ続けること―。これこそが何よりも大変なことであり、最も苦労することです。でも、例えどんな苦労をしても、私たちはこの事業を継続していきたいと思っています。なぜなら、そこに常に新しい発見や驚き、楽しみや何物にも代えがたいやりがいを感じているからです。そして、この気持ちを大切にしながら、これからも皆さんに「美味しい」と喜んでもらえる製品を提供し続けていきたいと思っています。

 

 ここフィリピンで、酪農を始めてからはや5年半が経ちました。振り返ってみれば、あっという間の歳月でした。私達夫婦が、フィリピンで酪農を始めることを決めたきっかけは、私が青年海外協力隊に参加したことでした。日本の牧場で、牛の人工授精師として働いていた私は、高校生の時から抱いていた「海外で生活する」という夢を叶えるべく、青年海外協力隊への参加を希望しました。派遣先はフィリピンの農業省国家家畜人工授精センター。異文化の中で、自分にいったい何ができるのかと大いに悩み、また非常に多くのことを学んだ二年半でした。

 

 この隊員時代に、日本で同じ牧場で働いていた今の旦那が私を訪ねて来比し、フィリピンの酪農事情を知るにつれ、「こちらでやってみたほうが面白い」と言い出し、二人でやってみることになったのです。

 

 そのフィリピンの酪農事情とは、まず牛乳の自給率がたったの2パーセントであり、輸入もののロングライフ乳や脱脂粉乳を水で溶いたようなものが「フレッシュミルク」として常温でスーパーの棚に並べられ、日本で牛乳を買うのと変わらないくらいの値段で売られていること。他にもフィリピンは人口が増加傾向にあり、牛乳の消費人口は確実に増えていくであろうことや、事業をするにあたり、日本に比べて初期投資が安価に抑えられることも、私達の決断を後押ししました。

 

 しかし、いざやってみるとなかなか思うようにいかないことの連続でした。まず、牛乳自給率が2パーセントの国であるため、酪農に必要なものを入手することもままならなかったり、日本ではあまり見かけなくなったような病気に牛が罹ったり……。しかし、そこは協力隊員時代に培われた「無ければ工夫して何とかする」「逆境にめげない」力をいかんなく発揮してここまでやってきました。現在では、生乳の販売だけでなく、ヨーグルトやアイスクリームの製品化、牛肉の販売なども始めることができるようになってきました。

 

 今まで沢山の苦労を経験してきた私たちですが、事業をするにあたって、何よりも大変なことは、「継続していくこと」だと痛感しています。事業を始めることも、経営者になることも、今思えば、ちっとも大変なことではなかったです。事業を継続していくために、利益を上げ続けること―。これこそが何よりも大変なことであり、最も苦労することです。でも、例えどんな苦労をしても、私たちはこの事業を継続していきたいと思っています。なぜなら、そこに常に新しい発見や驚き、楽しみや何物にも代えがたいやりがいを感じているからです。そして、この気持ちを大切にしながら、これからも皆さんに「美味しい」と喜んでもらえる製品を提供し続けていきたいと思っています。

 

 

牛舎で子牛といっしょに

牛舎で子牛といっしょに

低温殺菌牛乳やヨーグルト

低温殺菌牛乳やヨーグルト

販売先、問い合わせは久美子さん宛の電子メール (kefseft@gmail.com )まで。
八巻久美子(やまき・くみこ)さん
2008年1月から2年半、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として家畜の人工授精強化プロジェクトでフィリピンに滞在。2011 年6月から夫妻でルソン地方ブラカン州サンタマリア市で酪農を開始、低温殺菌牛乳やヨーグルト、アイスクリームなどを製造・販売している。毎朝5 時と夕方5時の2 回、約1時間半かけて9頭の牛の乳を搾乳機で搾る。他にも、日中は餌やりや生乳の殺菌、ヨーグルトやチーズへの加工などの作業をこなす毎日を送る。
製品取扱店
マニラ市:ペンギンマート、大虎
マカティ市:てっぺん、Wangmart
ボニファシオ・グローバルシティ(BGC): Bonifacio Global Mart
グリーンヒルズ:東京マーケットコンビニストア

 
◎ Navi Manila Vol.28 より
 
 
 
 
 

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