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【フィリピノ・ワールド】工夫する人たち

2020年10月5日

 みなさんこんにちは!Kumusta kayo?

 先般ギマラス島で木製の自転車を自分で作った人の写真がSNSで拡散され、話題になりました。この自転車を作ったジャニファー・カバヤさんは、子供のころから自転車が欲しかったそうですが、貧しくて買えないため、自分で材料を集めて作ったのだそうです。材料も全部は集められなかったため、前輪は人から借りた物だとか。フィリピンでは経済的にゆとりのない場合が多いので、買うことよりもまず自作することを考えたり、壊れた物でも何度も直して使ったりすることが一般的です。

 

 

 筆者の義父も生前、アルミ板に釘と金槌でたくさんの穴を開け、おろし金を自作したことがありますし、また借家の裏庭にあるトイレの屋根にドラム缶を上げ、井戸からポンプで上げた水でシャワーが浴びられるようにしたこともあります。友人のお義父さんも同様で、勤めていた機関から支給された更地に自力で家を建て、棚などの家財道具はもちろん自作、ガレージもセメントを自分で塗って作ったそうです。

 

 

 必要は発明の母とも言いますが、不便は工夫の母とも言えそうです。フィリピン語では、このような工夫ができる人を「様々な方法(paraan)を持っている人」という意味でmaparaan(マパラアン)と言い、様々な工夫をpara-paraan(パラパラアン)とかdiskarte(ディスカルテ)と呼んでいます。

 

 

 ロックダウンの間には、ウベ(紅山芋)を混ぜ込んだウベ・パンデサル等のユニークなパンを家庭で焼いてお小遣い稼ぎをする人も出てきましたし、小さな庭でも工夫して家庭菜園を作ったり、様々な植物を育ててインスタグラムで販売する人など、いろいろな工夫が流行しました。植物を育てる人のことを英語のplantとフィリピン語のtito(おじさん) tita(おばさん)からplantito、plantitaという造語もできたほどです。フィリピンの人たちも様々な形でステイホーム期間を有意義に過ごす工夫をしていたのです。

 

 

 このように創意工夫に溢れているのは良いことなのですが、これが自分の都合で必要な物までバイパスする手段として使われると問題です。例えば、工場の機械の安全装置などを、使いにくいからと取り外してしまったり、工事の高所作業のハーネスを勝手に外して事故を起こしてしまうケースもあります。最近ではマニラで防疫措置中の移動許可証や外出許可証を偽造していた人達が検挙されたり、貧しい人への支援金を抜き取ったりして私腹を肥やしたバランガイの職員が検挙されたこともニュースになっていますが、工夫は工夫でもこういう悪知恵はいただけません。

 

 

 コロナ禍のフィリピンでは外出時にマスクの着用が義務付けられていますが、イサベラ州では、バナナの葉っぱで目だけを出すマスクを作って着用していた男性が、検問中の警官に止められました。貧しくてマスクを買うお金も無いため、バナナの葉で代用したとのこと。それを知った警官は、その人に新しいマスクをプレゼントしたそうです。日本ではいわゆる「アベノマスク」の配布が批判されましたが、フィリピン大統領府は、つい先日、貧しい人へのマスク支給を決定し指示したそうです。これはもう少し早く配布しても良かったのではないでしょうか。感染者のほとんどいない片田舎までマスク着用を義務付けるのもどうかとは思いますが、このあたりは、もう少し工夫が必要なところと言えそうですね。

バナナの葉で作ったバナナマスク(イメージ写真)。環境にやさしい? 不気味?

 

文:デセンブラーナ悦子
日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。