【フィリピノ・ワールド】Naman ナマン

この記事をシェア

2023年2月9日

 

 

 みなさん、こんにちは。Kumusta kayo? 12月号と1月号でnaやpaなどの小辞について解説しましたが、今回は上級編の “naman”です。この言葉はフィリピン人にどういう意味か聞いてもわかりやすく説明してもらえないと思います。ネイティブスピーカーは、普段使う言葉のニュアンスを深く意識することがあまりないため、説明がしにくいのでしょう。ほかの小辞と組み合わせることも多いので、熟語のようにセットで覚えると良いと思います。

 

1. na naman

 

 namanを使う表現の中でも最もわかりやすいのは小辞naと一緒に使う表現na namanでしょう。これは「また」「再び」という意味です。

 

Tumaas na naman ang presyo ng sibuyas. (玉ねぎの値段がまた上がった)

 

 

Traffic na naman! (また渋滞だ!)

 

 これらはとても使いやすいのでna namanはセットで覚えておくと良いですね。

 

 

2. 比較や順番

 

 namanは、ある物と別の物を比較して説明する時によく使われます。例えば、

 

Ako si Marissa. Siya naman si Ate Maritess.(私はマリサです。一方こちらはマリテスお姉さんです)

 

 自分を紹介した後、お姉さんを紹介しています。順番を表すこともあり、子供がゲームに参加したい時などに“Ako naman! Ako naman!” (次は私!私がやる!)と自分の番を主張することができます。

 

3.「~というわけではない」

 

 否定を表すhindiとセットでhindi namanとしてよく使われます。意味は「~というわけではない」です。

 

Hindi naman ayaw; hindi ko lang gusto.(嫌いというわけではないが、好きではないだけだ)

 

Hindi naman kami nag-aaway; mataas lang ang boses.(僕らは喧嘩をしているわけではなくて、声が大きいだけだ)

 

 

4. pa naman

 

 小辞paと一緒に使う場合は、「~していたのに」とか「~だったのに」のように期待外れの気持ちを表します。

 

Akala ko pa naman mabait siya, iyon pala hindi.(優しい人かと思ったのにそうではなかったとは)
 

 

“pa naman”なしでも文として成立しますが、 “pa naman”があると「がっかりした感じ」「残念な感じ」が加わります。

 

 

5. 感嘆や強調、皮肉

 

 “Ang galing naman!” (すごいなぁ)のように感嘆表現にnamanを加えると、思った以上に驚いていることや強調、さらに皮肉を表す場合もあります。

 

 市場などで値段を聞いたフィリピン人がよく “Mahal naman!” (高いなぁ!)と言っているのを耳にします。日本語で言えばこの「なぁ」に相当する表現と言ってもよいでしょう。

 

 

6. Naman!

 

 前の5と似た使い方で、“Naman!” や ”Ikaw naman!”のように感嘆符と合わせて使う場合は軽い非難の意味を持ちます。“Naman!” は「まったく!」というような意味で、”Ikaw naman!” のように代名詞や人の名前と合わせて使う場合は「まったくあなたったら」というような意味になり、あきれ返った時などに使います。逆に自信をなくしている人に対して

 

“Ikaw naman! Kaya mo naman iyon!” (まったく君ってやつは。君ならできるよ!)のように使うこともあります。

 

 このようにnamanにはさまざまな使い方があります。一気に覚えようとすると混乱しそうですが、一度覚えてしまえばとても便利です。まずは簡単なna namanあたりから使ってみてくださいね。

 

 

 

 

文:デセンブラーナ悦子 日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人男性と1992年に結婚後マニラ在住。

Twitter:フィリピン語ミニ講座@FilipinoTrivia

 

Advertisement