みなさん、こんにちは。Kumusta kayo?前回、フィリピン語で「親戚」を意味するkamag-anakを取り上げました。また、これまでこのコラムではkapatid(きょうだい)やkamukha(同じ顔、そっくり)など、接辞ka-で始まる言葉を紹介してきました。このようにフィリピン語にはka-という接辞で始まる言葉がたくさんあります。今回はその中でも「一緒に何かをする人、相手」という意味を持つ言葉を見ていきましょう。

Kasama(仲間)

 kasamaというのは「仲間」という意味です。言葉の最も基本的な単位(意味をなす最小単位)である語根は “sama”で「一緒に~する」という意味があります。つまりkasamaは一緒にいる人、一緒に行く人、一緒に何かをする人を表します。

Kapwa (同士)

 kapwaとは「同士」という意味で、kapwa-Filipino (フィリピン人同士)やkapwa-tao (同じ人間同士) というような使い方をします。kapwa単独でも“Mahalin mo ang kapwa mo” (あなたの隣人を愛しなさい)というように使います。ここでのkapwaは日本語訳では「隣人」ですが、どちらかというと単なる隣人というよりは「自分と同じ人間である仲間で、自己の延長線上にある人」のようなニュアンスです。この「お互い」を尊重するという概念は、フィリピン人にとって、なくてはならないものだと言われます。

 このkapwaも現在は一つの独立した語なので接辞ka-と語根には分けられませんが、元は接辞ka-がpuwang(狭い場所、隙間)に付いた “kapuwang”が省略されたものだという説があります。つまり元来は「狭い場所にいた者同士」という意味で、そこから転じて「仲間」や「同士」を指すようになったというのです。

仲間、相手を表す言葉

 「教室」や「クラス」を表すklaseにka-が付いたkaklaseは「同級生」という意味になり、「オフィス」を表すopisinaにka-が付くとkaopisinaとなって「同僚」という意味になります。また「遊び、遊ぶこと」を表すlaroにka-が付いてkalaroになると「遊び相手」になり、「話す、話すこと」を表すusapにka-を付けたkausapなら「話し相手」を意味します。

 「友達」はkaibiganですが、遊び歩く仲間のことはbarkadaと言います。barkadaは「船」という意味のbarkoから来ており、元々は同じ船に乗った船員仲間がbarkadaです。barkadaでも既に「仲間」という意味が含まれているのに、さらにka-を付けてkabarkadaという言葉もあり、この場合は、遊び仲間のグループとしてのbarkadaのメンバー同士、というニュアンスが加わります。

 このようにka-が付くことで「何かを一緒にする仲間」や「チーム、グループのメンバー」を表すことができるとわかれば、いろいろな言葉に応用できますね。例えば「デートの相手」ならka-dateです。同じように「バスケットボール(basketbol)仲間」なら “ka-basketbol” 、「チャット相手」ならka-chatとなります。しかし、ka-が付いても必ずしも「仲間」ではない場合もあります。例えば「けんか」を意味する “away”にka-が付いたkaawayは「けんか相手」です。さらに「戦い」を表すlabanにka-が付くとkalabanとなり、「対戦相手・敵」という意味になります。この場合、「仲間」や「同士」ではなくても、同じ場所で「戦い」や「けんか」をする「相手」という意味に使われているのです。

 今回はka-という接辞を使った「仲間」や「相手」などを表す言葉を紹介しました。次回は、接辞ka-を使ったこれ以外の意味を持つ言葉や使い方について解説します。

 

 

 

 

文:デセンブラーナ悦子 日英・タガログ語通訳。大阪外大(現大阪大外国語学部)フィリピン語科卒。最近の楽しみは出張をより快適にするアイテムを集めること。

Twitter:フィリピン語ミニ講座@FilipinoTrivia