Filipno World Takot sa Asawa

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2017年8月4日


みなさん、こんにちは!Kumusta kayo? 「今日、タカサワって言葉を知ったよ」とお友達のNさんから、ラインが来ました。あるご家庭の奥さんがとっても優しい方なのに、ご主人が「タカサワ」なんだとか。「ああ、タコット・サ・アサワ(takot sa asawa)のことですね?」と私。タコットというのは怖がることで、アサワは配偶者のことですから、タコット・サ・アサワというのは恐妻家のことなんです。フィリピンにはタガログ語をわざと日本語っぽく発音する冗談が多くあります。聞いている日本人
には何が面白いのか、サッパリわからないこともあるのですが、「タコット・サ・アサワ」を日本語っぽく「タカサワ」と言ったのは、もしかするとそういう冗談なのかもしれません。同様に「タコット・サ・アサワ」を省略して「タクサ」と言い、「僕は日本の『ヤクザ』とは関係ないけど、『タクサ』のメンバーだよ、つまり『タコット・サ・アサワ』さ、はっはっは」とか、同様に「ユコ・サ・アサワ(yuko sa asawa=奥さんにお辞儀ばかり)」という言葉を縮めて「僕は『ユコサ』のメンバーだよ」なんて言ったりします。
「アンダー・デ・サヤ(under de saya)」という言葉もあります。「アンダー」はもちろん英語で、「デ」も英語のthe をフィリピン風に発音したもの、そして「サヤ」はスカートです。「スカートの下に隠れている」つまり、尻に敷かれているという意味になります。
また「あの男性はティガス(tigas『硬い=硬派』)だよ」と言ったりします。さぞかしガチガチの硬派の男性なのかと思ったら、実は奥さんの「ティガ・スンド tiga-sundo (お迎え係)」だったり「ティガ・サインtiga-saing (飯炊き係)」という意味だったりします。実際、フィリピン人男性は家事や子育て、奥さんの送り迎えを厭わない人が多いのです。フィリピン国家警察のデラ・ロサ長官も「バト(石)」というニックネームで呼ばれるほどの硬派ですが、テレビのインタビューで「自分には怖い物が三つある。それは神様と妻とお化け。」と答えています。
フィリピン文化は、男は男らしく、というラテン系の「マチスモ」の文化だと言われますが、実はフィリピンには優秀な働き者の女性が多く、家庭内の大事なことは奥さんがウンと言わなければ何も進まない女系社会でもあるのです。2016年10月に世界経済フォーラムが発表した「男女平等ランキング(ジェンダーギャップ2016)」では、世界144か国のうち、フィリピンは世界第7位。日本は世界111位ですから、フィリピンの方が経済や政治の分野で女性が断然多く活躍していることがわかります。そうしてみると、フィリピンの男性が「タコット・サ・アサワ」なのは、あながち冗談ではなく、本当なのかもしれませんね。
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3 文:デセンブラーナ悦子
日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人の夫と1992年に結婚、以後マニラに暮らす。趣味はダンスだが、最近は時間が取れないのが悩み。

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