我が闘病 隔離生活体験記

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2022年2月11日

 

 

 

新年早々、新型コロナウイルスの検査を受けたところ、陽性となった本誌編集T。正月を自宅隔離で過ごすことになった体験を振り返ります

 

 

発症は大晦日

 

 昨年大晦日の昼頃、年越しそばを買うために日本食材店をまわった。しかし売り切れたのか、どん兵衛も緑のたぬきもなかった。かろうじて残っていた乾麺のそばとめんつゆを買い、家で年越しに備えることにした。

 

 平和にして平凡な大晦日。だが、午後遅くなってからのどが痛くなり、咳が出るようになった。店やコンドミニアムに入るときの検温では体温に異常はなく、ワクチンは10月に接種済、そして新型コロナの症状とされる臭覚にも異常はなかった。だが、食欲がなく、結局年越しそばは食べなかった。激務激動の1年の疲れがどっと出たからだと思いたかったが、「ひょっとしてオミクロン?」という不安もぬぐえなかっので、翌日RT-PCR検査を受けることにした。元旦に雑煮を食べに行きましょうというありがたいお誘いをいただいていて、10年以上ぶりの雑煮を楽しみにしていたのだが、万一のことを考えてお断りした。

 

 薬を飲んで一晩寝た次の日の元旦。症状は一応収まったような感じだった。元旦にもやっているレガスピビレッジの検査施設を見つけて電話するが、つながらない。そこで直接行ったところ今日の予約はいっぱいといわれ、翌日検査を受けることになった。元旦なので空いているものと思っていたが、今から思えばちょうどオミクロンがマニラで猛威を振るい出したタイミングだったのだろう。

 

 1月2日朝8時、検査施設へ行くとすでに多くの人がいた。30分ほど待って検査を受けた後、そのまま帰宅。食欲はまだない。検査結果は24時間以内にEメールで送られてくる。果報は寝て待てということなので、寝ることにした。きっと倦怠感もあったのだと思う。 

 

 

陽性発覚、まさかの体調異変

 

 その日の夕方、検査結果が届いた。PDFを開いてすぐにPOSITIVEの文字が目に入ってきて、私の気持ちはすごくネガティブになった。何度見ても陽性に違いはなかった。

 

決してポジティブな気持ちにはなれないPOSITIVEの結果

 

 会社と、住んでいるコンドミニアムの警備係に陽性結果が出たことを伝え、マカティ市のコロナ対策班マカティCESUに電話した。

 

 1月3日から10日間、自宅隔離するよう言い渡された。続いてEメールが来て、新型コロナウイルスの症状の説明、市販の薬パラセタモールの服用やビタミン摂取のすすめ、緊急時のホットライン、問診の連絡があることについて書かれていた。

 

 自宅隔離になったことを、友人たちに伝えると、「ワクチン接種していたらオミクロンは重症化しないから大丈夫」と励まされたり、「急変したら怖いね」と言われて落ち込まされたりした。いわゆるのどの痛みや咳に効くという民間療法を教えてくれる人もいて、グラブの買い物代行サービス、グラブパビリ(Grab Pabili)利用してはちみつ、緑茶、梅干し、ショウガなどを買った。喫煙者は感染しないらしいという話も聞いて、30年ぶりにたばこを吸ってみることも考えた。

 

 

 あるフィリピン人の知人からはバージンココナツオイルがコロナに効果があると現地紙で報道されていると聞き、試してみた。ボトルに1日スプーン3杯と書かれているので、その通りに飲んだところ、2日後の朝、私の体に異変が起きた。食事中の方には申し訳ないが、下痢である。気が抜けないほどの。油漏れという表現がふさわしいかもしれない。これもコロナの症状なのかと心配だったが、ネットで調べてみるとこれはバージンココナツオイルのデトックス反応とのこと。これでコロナウイルスも排出されるのならいいのだが、バージンココナツオイルのあまりのパワーに怖くなり、飲むのをやめた。

 

 

隔離生活に必要なもの

 

 隔離期間中、グラブパビリにはお世話になったが、買い物をしてくれるフィリピン人のドライバーとの意思疎通は難しかった。ドライバーが迷った時には品物の写真を送ってきて確認できるが、思いがけないものが届くこともある。「卵、〇〇ブランド、白色、ミディアムサイズ、1パック」と注文したら、30個入りが届いた。12個入りパックと伝えなかった私が悪いのだけれど。

 

 隔離を始めてから数日のうちに症状はおさまり、在宅勤務で忙しくしていたが、スタジオタイプの部屋にずーっといると、運動量が減るせいか、夜になかなか寝ることができなかった。日当たりがないに等しい環境なのも原因だろう。隔離生活に入ると、いかに住環境が大切かがわかる。ベランダとネットフリックスは快適な隔離生活に必須かもしれないが、私にはどちらもない。

 

 隔離が終わる前日の1月12日、マカティCESUから電話があり、私の氏名、住所、年齢、既婚か未婚か、症状、誰と住んでいるか、発症前の12月末にどこに行ったかなどを聞かれた。問診が、隔離が終わる頃でいいのだろうか……。翌日、隔離終了証明が送られてくるとのことだったが、不安だったので、一応、Eメールで隔離終了証明の発行依頼を送った。すると、改めて私について詳細を記入するメールが送られてきて、「現在多忙につき、2日間届かなかったら、連絡するように」と書かれていた。隔離が延長になるかしれない。意気消沈である。

 

 1月13日午後1時、隔離終了の証明書がEメールで届いた。コンドの警備係にも伝え、晴れて外出ができる身になった。

 

 1月14日の朝、11日ぶりに外出した。日差しがまぶしかった。そして思った。今年こそベランダがある部屋に引っ越さねば。

 

 

 

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