マニラでふれる略語と懐かしい英語

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2020年10月28日

 マニラに住んで早4年余。現地の言葉にも慣れてきたように思う。といっても、タガログ語ではない。マニラで使われる略語と英語である。

 

 来たばかりの頃、フィリピン人の同僚がミーティング中に「CRに行く」といって席を立った。私の頭の中では「CR? パチンコの機種にあったような?」と、意味不明だったのも今では懐かしい思い出だ。

 

「PAY CR」は「クレジットカードでお支払いください」ではありません。

 

 2017年頃まではよく新聞の見出しに「DU30」という言葉が載っていた。これはドゥテルテ大統領のことで、ドゥテルテの「テルテ」がタガログ語で30の発音に近いことと、大統領が政治家になって30周年という意味をかけた造語だったらしい。今は見なくなったのは政治家30周年を過ぎたからか。昔はドゥテルテ大統領はDU30と書かれたポロシャツも着ていたが、今はどのなのだろう?

 

 また、DOLE と新聞に出ていて、てっきりバナナの話題かと思ったら、労働雇用省(Department of Labour and Employment )の略だった。Doleは英連邦の国などでは失業保険金のことなので、労働雇用省らしくそうした意味も含んでいるのかも。さらに DOT はドットではなく観光省(Department of Tourism)である。

 

 

 地名もNCR(National Capital Region)はまだわかるけれど、カラバルソン(CALABARZON/Cavite, Laguna, Batangas, Rizal, Quezon)や  ミンダナオ地方の ソクサージェン(SOCCSKSARGEN/South Cotabato、Cotabato、Sultan Kudarat、Sarangani、General Santos City)にいたっては、初めて聞いた時は全くわからなかった。

 

 

 フィリピン人との会話で、聞き返されるときにCome Again?というフレーズを聞く。ある英会話のテキストに、米国留学中の日本人が先生に質問に行ったところ、Come again? と言われ、今先生は都合が悪いので出直して来いと言われたのだと思い、その場を去ったという話が書かれていた。これまで住んだ英語圏ではこのフレーズを聞いたことはなかったが、フィリピンでは使われているので、初めて聞いたときは「おぉ! 使ってるじゃないか!」とちょっと感動した。

 

 

 電話に出て「○○さんお願いします」と言われて、「私です」という時、昔、ビジネス英語のクラスで、SpeakingまたはThis is he ( She)と言うと習った。このフレーズにまつわる話で、シンガポールにいた時に自分宛ての電話に出て「This is he. 」と言ったところ、相手が「え? ○○さんじゃないの?」と言い返してきたので、あわてて自分の名前を名乗ったと聞いたことがある。シンガポールの華人の苗字にはHeさんという名前もあり、このフレーズは紛らわしいのだそうだ。

 

 フィリピンでまだこのフレーズを使ったことがない。どのような反応が来るか次回使ってみたいと思う。(W)

 

(初出まにら新聞2017年1月15日号を再編集)

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