マニラでお金を拾ったら

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2020年10月12日

 

 

 マニラの道を歩いていると、小銭が落ちているのを見る。25センタボ硬貨がよく落ちている。誰も気にしないし拾わない。だが紙幣になると話は違う。10月9日午前11時頃、マカティの商業施設近くを歩いている時、1,000ペソ札が落ちているのを見つけた。すぐ近くに銀行のATMや送金業者の店があるので、お金を受け取ってすぐに落としたのだろうか。私は拾って近くにいた警備員に届けた。警備員が折ってある紙幣を広げると、1,000ペソ札が2枚。ノートに名前と電話番号を書くように言われたので、書き残した。警備員から後からまた戻ってきて、拾い主が現れたかどうか聞きに来いと言われた。

 

 会社でお金を拾ったことをフィリピン人の同僚に言うと、どうして警備員に渡したのかと軽く怒られた。落ちている現金の所有者など誰もわからない。その警備員がネコババするかもしれない、というのである。私は、落ちている現金を拾って持ち続けるわけにもいかないし、拾ったところが監視カメラに写っているかもしれないと反論した。同僚の言い分は、お金を拾ったら儲けものなのに、警備員に渡すとはもったいないということらしい。ここは日本とは違って、落した物、失くした物は戻ってこないのが当たり前で、自分の所有物を落とした方が悪いとまで言われた。

 

 フィリピンの新聞に、誰かが高額のお金が入ったバッグを置き忘れ、見つけて届けた人に持ち主が謝礼金を渡したという美談が載ることがあるが、今回はそれほどの額でもない。コロナ禍の中、現金を落とした人はさぞ困っているだろうと思って警備員に届けたのだが、私がしたことは間違っていると言われたような気分である。商業施設の事務所に届ければよかったのだろうか。

 

 翌日その商業施設に行くと、警備員に呼び止められた。私が拾った2,000ペソを受け取った警備員である。現金の持ち主が現れて、拾って届けた私に感謝していたという。持ち主の名前を聞いたところ、警備員は「メアリージェン」と答えた。私の名前と電話番号も伝えたそうだが、連絡はない。

 

 警備員の言うことを信じたいが、メアリージェンというフィリピンによくありそうな名前をとっさに言って、本当は・・・・・・、という疑いが私の中に全くないわけでもない。

 

 フィリピンでお金を拾ったら、いったいどうすればよいのだろうか。悩む。(T)

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