未体験な手で食べる食事

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2021年4月8日

 

 

 

 フィリピンでの食事は一般にフォークとスプーンを使う。しかし、中にはそれらを使わず手で食べる人もいる。フィリピン人の友人が手でフライドチキンを割いて手で食べるのを初めて見た時は、それまで『手で食べる=インド』と思っていたので、フィリピンでもそうなのかと驚いた。今はコロナ禍で手で食べるのはおすすめできない食べ方だと思われるが、コロナ前は会社のランチタイムにご飯とおかずを皿に載せ、手で食べるローカルスタッフがいた。

 

 

 どんなものでも手で食べるのかと思えば、さすがにスープをご飯にかけてそれを手で食べるということは通常はしないようで、ご飯と魚や肉の焼き物などの組み合わせがメインとなる。私が友人に聞いた食べ方は次のような感じである。

 

 

1.ご飯をつまんで小さなボールまたは山のような形にする。

2.少しのおかずをご飯にのせて、軽く押し込む。

3.人差し指、中指、薬指でご飯をつまんで口へ。

4.親指でご飯を押し出すようにして口へ入れる。この時、指を口に付けないようにすること。

 

 

 インドではカレーも手で食べるが右手を使い、不浄とされる左手は使わないと聞いたことがある。しかし、フィリピンでは左手を使ってもOKだそうで、左利きに人にもやさしい。

 

ピクニックでシンプルなブードルファイト。フィリピンらしくご飯が多い。

 

 この手で食べるフィリピン料理の代名詞が、ブードルファイト(Boodle Fight)、カマヤン(Kamayan、タガログ語で「手で」という意味)と呼ばれるもので、 フィリピン国軍で行われていた食事方法に由来するらしい。敷いたバナナの葉の上にご飯、麺類、魚、肉、果物などがいっぱいにならべられ、大勢で手で食べる。

 

 

 ブードルファイトを見ると楽しそうではある。私はこれまでフィリピンに来てからブードルファイトで食べたこともないが、やや潔癖症気味で不器用なので、あまり自信がない。郷に入っては郷に従えとはわかっているけれど、フォークと取り皿を使って食べたいと思ってしまう。ローカル料理が好きで、バロットだってなんのそのなのだが、手で食べるのはなせか抵抗がある。まだフィリピンの食文化への理解が足りないようだ。

 

 

 フィリピン人は口をそろえて、「手で食べる方がおいしいから、手で食べる」と主張する。全く同じ食べ物をフォークで食べた時と手で食べた時で、味が変わるわけがないので、そんなわけないだろうと反論すると、「日本でも寿司を手で食べるでしょう?」と言う。私は寿司を箸を使って食べる派だと言うと、「日本の伝統を侮辱している」とたしなめられた。そこまで言わなくても・・・・・・。いつかひっそりと、ジョリビーのフライドチキンとライスを家に持ち帰って、手で食べてみたいと思う。(W)

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