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フィリピンの国魚と大統領の魚

2020年10月13日

 フィリピン料理でおなじみの魚バグス(bangus)。身が白いことから、 英語でミルクフィッシュ(Milkfish)と呼ばれる。見た目は日本の魚でいうと、ボラのようでもあり、ニシンにも似ているようで、トビウオとも親戚かなとも思わせる。日本ではサバヒーという名前で、一般に人間の食用ではなくカツオ漁などのエサとして使われるが、台湾では粥などの食材として親しまれている

 

 

 フィリピンのスーパーマーケットで見るミルクフィッシュは、大きいものでだいたい30〜40センチくらい。だが、以前オーストラリア北部準州ダーウィンで野生のミルクフィッシュの群れに餌付けを見せる観光スポットに行った時、1メートルくらいのものがいいた。そのくらい大きいミルクフィッシュがフィリピンにもいたら、子豚の丸焼きのように、ミルクフィッシュの丸焼きができて人気が出るかもしれない。

 ミルクフィッシュはバグスと呼ばれる前に、体長2.5センチ未満のものをカワグカワグ(Kawag-kawag )、10センチ未満の幼魚をハティリン(Hatirin)と呼ぶそう。意外にも成長するにつれ、呼び名が変わる出世魚であったのだ。

 ミルクフィッシュはフィリピンのナショナルフィッシュ( 国魚)とされ、養殖が盛んなルソン地方パンガシナン州ダグパン市では毎年4月にバグス・フェスティバルという祭りも行われる。

 

 

 国魚と聞くと、保護しなくていいのかと思うのだが、フィリピンでは食べる。国鳥のフィリピンワシが絶滅危惧種として保護されているのと対照的である。日本の国魚はニシキゴイらしく、国鳥はご存じキジ。日本ではニシキゴイは食べないけれど、キジは狩猟用であり食用。国魚をおいしくいただいちゃってるフィリピンを責めることはできない。

 

フィリピンで最も高価な魚

 

 国魚がミルクフィッシュなら、フィリピンにはプレジデント・フィッシュ、大統領の魚と呼ばれる魚がいる。それがルドン(Ludong)。フィリピンで最も高価な魚とされ、1キロあたり4,000ペソから5,000ぺソするという。ミルクフィッシュはマカティのスーパーマーケットで1キロあたり288ペソ、ノルウェー産サーモンでも1キロ899ペソ(2020年10月13日)だから、ルドンがいかに高価な魚かがわかる。現地紙「スター」(10月5日付)によると、ルドンは希少で、産地として知られるルソン島北部のアブラ川(Abra River)などでは毎年10月から11月15日は禁漁となる。日本のアユや渓流魚のように、フィリピンで禁漁期間がある魚がいるとは知らなかった。

 

 スーパーマーケットでルドンを売っているのを見たことがなく、それほど手厚く扱われている魚とは、いったいどんな魚なのかと期待していたところ、淡水ボラだという。日本では一般に釣り人に雑魚扱い(ボラさんごめん)されているボラが、フィリピンでは超高級魚となるとは。ところ変われば魚の扱いも変わるものだ。

 

大統領の魚・ルドン。外見はボラのような、タナゴを細長くしたような…。中には卵を持ってお腹がパンパンにふくれているのもいる。ボラなら珍味カラスミをつくることができるのでは?(写真:フィリピン国営通信社)

 

 ルドンは、シニガンスープや煮付けにして食べられるようだが、周りのフィリピン人に聞くと「ルドンという魚は聞いたことも、食べたこともない」との反応。ひょっとすると、マラカニアン宮殿の中だけで食べられているのか? まさに幻の魚ルドン。いつか出会い、食べる機会が来ることを願う。(K)

 

 

(初出まにら新聞2016年12月1日号を再編集)