フィリピンで有名、または人気なスポーツといえば、思いつくのはバスケットボールやボクシング。そんな中で今、フィリピンの存在感を世界に知らしめようと頑張っているのが女子サッカーである。フィリピン代表として、初めて国際大会の出場切符を手に入れたのだ。7月21日(金)に行われた予選リーグ初戦のスイス戦は、首都圏パサイ市の商業施設アヤラセンター・マニラベイのアクティビティセンターでフィリピン・フットボール連盟(PFF)によるパブリックビューイングが開催された。

 

 

 

 

 会場を訪れてみると、平日の昼間にも関わらず、およそ200人ほどの人が集まっていた。スポーツの種目にこだわらず、フィリピンのナショナルチームを応援する私設応援団「ウルトラス・フィリピナス」もパブリックビューイングに駆けつけ、太鼓のリズムとともに声援を送る姿は、筆者が学生のころ週末に通いつめた地元横浜のJリーグの試合を思わせる光景だった。

 

 

試合を真剣に見守るウルトラス・フィリピナスのメンバーたち

 

 

 世界ランキング46位のフィリピンに対し、スイスは20位。格上の相手に善戦するフィリピン代表にとって惜しいシーンも多く見られたが、結果は残念ながら0対2で敗北。試合終了直後こそは悔しい雰囲気が漂ったものの、応援に来ていたフィリピン人はあくまでも前向き。「次の試合に期待だ」「初出場で格上相手にここまで戦えただけですでに誇らしい」などどコメントを残す人も多かった。

 

 

ハーフタイムに行われたリフティングイベント

 

 

 フィリピン代表の予選リーグ2試合目、ニュージーランド(世界ランク26位)は25日(火)、フィリピン時間の午後1時半にケソン市のUPタウンセンターで同様のパブリックビューイングが行われた。この第2戦はみなさんもうご存知かもしれないが、フィリピンの歴史に残るW杯での初得点&初勝利を掴んだ試合となった。UPタウンセンターはそれはもう大盛り上がり。叫び声があがったり、雄たけびが響いたり。モール内で地響きを感じる日が来るとは思わなかった。涙をみせる人も少なくなく、どれだけこの瞬間が心待ちにされていたかを肌で感じた。

 

 

フィリピン初勝利の瞬間

 

 

 そして国民の期待をのせた予選リーグ最終戦のノルウェー(世界ランク12位)戦。マカティ市のアヤラセンター・グロリエッタのアクティビティセンターで行われたパブリックビューイングは、これまでの比にならないレベルのサポーターが集合。1戦目、2戦目と異なり週末に行われた試合というのもあったのだろうが、これまでのフィリピン女子サッカー代表の奮闘が、国民に大きな影響を与えたのは間違いないだろう。

 

 

人の多さが桁違いだったノルウェー戦。ノルウェーサポーターも多かった

前半終了前まで受け付けていたフェイスペインティングはなんと無料!

 

 

 残念ながらフィリピン代表は、この最終試合まで予選突破の希望を残しながらも、0対6という大量失点負けで予選落ちという結果になってしまった。しかし予選落ちが決定した試合直後も、ウルトラス・フィリピナスは声を張り上げ応援歌を謳い、フィリピン代表の活躍を祝福した。そしてパブリックビューイングに来ていた他の観客も笑顔をみせている人が多かったように思う。

 

 

試合終了後も旗やタオルを掲げるサポーターたち

 

 

 試合の結果がどうであれ、自国を代表する選手たちが世界で活躍し、可能性を見せてくれたことに、フィリピンの人たちは心動かされたようだ。フィリピン歴1年の筆者ですら、代表選手が頑張る姿や選手たちを一心に応援する国民の姿に感動し、思わず泣きそうになってしまった。

 

 

 今は予選落ちしてしまった他のアジア代表の悔しさを背負い、応援の熱さを引き継ぐようなつもりで、日本代表の応援に励みたいと思う。4年後、フィリピン代表と日本代表が対戦し、好試合を繰り広げてくれることを期待しながら……。(METR)