フィリピンの山の楽しみ方を紹介! 第3回

この記事をシェア

2017年3月22日

s-manabu5

マナブ山760m、バタンガス州サントトマス町。 頂上からはバタンガス州の山々とリパ市を眺めることができる


s-map コピー-01マニラ首都圏から日帰りで行くゆったりハイキングにおすすめ。山頂まで片道約2時間、登山道も分かりやすく整備されておりガイドなしで登れる。300~600mごとに休憩ポイントがあり、道中の展望台で景観を楽しめるのもうれしい。汗をかいて疲れたら、若いココナツの実に顔をうずめて新鮮なブコジュースを飲もう。砂糖を入れなくても、ほのかに甘いジュースが体を癒やしてくれる。白い果肉も忘れずにいただく。
特にこれといった見どころはない山だが、頂上に大きな十字架が立てられていることから分かるように、地元の人たちにとっては聖週間の巡礼地でもある。フィリピンでは、毎年3~4月の聖週間に、キリストの受難を追体験する様々な行事が開かれる。そのうちの一つ、「ステーション・オブ・ザ・クロス」は、キリストの処刑が宣告されてから死亡して墓に入るまでの1日を14の場面に区切り、各場面に見立てられた14の場所を順に巡り祈りをささげるというもの。欧州では、教会内に掲示された14枚の絵や、屋外に設置された礼拝堂などを順に巡るようだが、ここフィリピンの特に地方では山の中に巡礼ポイントとなる14カ所を設定し人々が巡礼する習慣がある。山頂の十字架は、ゴルゴダの丘ではりつけになって処刑されたキリストを象徴しており、サマット山(バタアン州)やバナハウ山(ケソン州)をはじめ、各地の山頂に十字架が立てられているのはこのためだ。巡礼ポイントに小さな十字架を立てたり、マリア像を置くこともあるが、小川や、滝、大きな岩、洞窟の中といった自然そのものを巡礼ポイントに見立て、ろうそくをともし祈りを捧げる地域もあり、スペイン入植以前の土着精霊信仰とカトリックが融合した、フィリピン独自のフォークカトリシズムを象徴している。
登山中に「Sampung Utos」(十戒)と書かれた石碑が突然現れたり、マリア像や十字架、ろうそくがお供えしてある場所が見えたら、その登山道は巡礼道でもある。聖週間でなくても、ハイキング中に、ロザリオを首にかけたおばあさんが若い家族に付き添われ、つえをついて祈りながら登っているのを見かけることもある。山はそこに暮らす人々の生活の場であり、暮らしの糧であり、また信仰の場でもある。
マナブ山の頂からは、リパ市やバタンガス州の山々、マキリン山などが一望できる。十字架から少し離れたところに広いスペースがあるので、テントを張るも、シートを敷いてお弁当を食べるもよし。体力に自信があれば、隣のマリプニョ山(1005m)に縦走するコースにもチャレンジしてみよう。(縦走コースについては入山前にバランガイホールで詳しく聞こう)
登山道の案内図。各休憩ポイントの目印が書かれていて分かりやすい

登山道の案内図。各休憩ポイントの目印が書かれていて分かりやすい


道は整備されていて歩きやすい

道は整備されていて歩きやすい


s-manabu9

汗だくで飲むブコ(ココナツの実)ジュースは最高


ブコジュースを売っている休憩所の女の子


聖週間にはキリストの受難を追体験する巡礼地にもなるマナブ山。頂上には、大きな十字架が立てられている

TravelGuide 行き方・交通費
__バスでバタンガス州リパ市(Lipa City)のSMまで行く。バスはケソン市クバオやモンテンルパ市アラバンのバスターミナルから出ている。SMのターミナルでトライシクルに乗り換え、Brgy. Sta CruzのSulokで降車。Mt. Manabuに行くと言えばバランガイホールまでまず連れて行ってくれるので、入山料20ペソを支払い入山記録に署名しよう。ホールからはトライシクルで登山口までいく。

 

Advertisement