マニラ現地紙ナナメ読み 34

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2021年5月21日

路上の賭けボクシングを摘発

 

[5月20日・フィリピンスター]マニラ首都圏が一般防疫地域(GCQ)となった5月16日、まだ集会や接触するスポーツは規制されている中で、マニラ市トンド地区の路上で賭けボクシングが行われているビデオ画像が流出した。

 

 マニラ市警察によると観衆はマスクもフェイスシールドもせず、ソーシャルディスタンスも取らず、会場はまさに「密」状態。プロを目指す18歳と未成年の16歳のボクサーの対戦を主催したのはバランガイの役員らで、防疫違反、違法賭博、そして八百長の罪に問われている。また、警察はこの試合の観客も調査しているという。

 

 路上で賭けボクシングと聞いて驚き、会社の同僚に聞くと祭りの時によく行われるそうだ。パッキャオをはじめ多くの世界チャンピオンを輩出し、ボクシングが盛んなフィリピンを支えるのは、草野球ならぬ、こうした「草ボクシング」なのだろうか。

 

 

 

お金を貯めるのも、運次第?

 

 [5月18日トリビューン電子版] 首都圏マニラ市トンド地区の路上で魚を売っている22歳のジェルダン・トレノさんは車を購入するか、もしくはネットカフェを始めるために毎日の稼ぎから20ペソ札を大きなプラスチックの容器に貯めていた。先頃、いっぱいになったその貯金箱を開けたトレノさんの写真を母親がソーシャルネットワーク上に載せたところ話題となり、テレビにまで出演した。フィリピン人は貯金をしないと聞いたことがあるが、トレノさんのようにちゃんと貯金する人もいるのだ。

 

 貯めた金額についてはトレノさんは明かしていない。貯金をしていると世間に知れ渡ったため、狙われることを危惧しているのかもしれない。

 

 フィリピンではせっかくの貯金を無事保管できなかったケースもある。

 

 ヌエバエハシ州ラウル市に住む95歳の女性は亡くなった夫の年金1万4,000ペソを貯金し、いつも持ち歩いている財布に入れていた。ある時、お湯を沸かそうと鍋を火にかけた時、ポケットから財布が落ちた。それに気づかず、財布とお金は燃えてしまった。 

 

 ジェイビー・ブラカンさんは父親が心臓の緊急手当てを受けた時、手元にお金がなかったので、治療代と薬代をクラウドファンディングで募った。そして1万5,000ペソに達成したとき、ある寄付者から送金のためモバイルウォレットのパスワードを教えてほしいと連絡がきた。ブラカンさんは寄付をしてくれると期待して教えてしまった。そして確認したところ、残高は0ぺソになっていた……。

 

 最後にインドで起きた貯金、お金にまつわる不運な話。インドで豚肉を売っているビジリ・ジャマラヤーさんは、使い終わった豚の肥料袋にお金を貯めてトランクに隠していた。貯めた金額は50万ルピー(約32万6千ペソ)。ジャマラヤーさんは仕事でお金が必要となり、久しぶりにトランクを開けると……お札はシロアリの餌になっていた。インドで不浄とされる豚肉を販売していたのでバチがあたったのだろうか?

 

 

亡きフィリピン人デザイナーの作品を世界で披露

 

 [5月17日ABS-CBN電子版] 第69回ミスユニバース2020世界大会の最終選考会が米国フロリダ州ハリウッドで5月16日(米国時間)に行われ、フィリピン代表のラビヤ・マテオさん(24歳、イロイロ州出身)はベスト10入りを逃した。74カ国・地域代表の頂点に立ったのは、メキシコ代表のアンドレア・メサさん(26)。

 

 ミスユニバースの各国の民族衣装部門の審査において、フィリピン代表のマテオさんは、天使のような大きな羽を背負って登場。フィリピン国旗をイメージして左右の羽は赤と青に色分けされ、両側の羽の内側に星があり、マテオさんの胸元の星を結ぶと三角形になる。

Rabiya Mateoさんのインスタグラムより

 

 この衣装をデザインしたのは、フィリピン人デザイナーのロッキー・ギャザーコール(Rocky Gathercole)氏。前衛的な衣装をデザインする彼の顧客にはジェニファー・ロペス、ブリトニースピアーズ、などハリウッドスターが名を連ねる。

 

 そんなギャザーコール氏はその波乱万丈の人生でも知られ、2017年にはテレビドラマ「マアラアラ・モ・カヤ(Maalaala Mo Kaya)」で放送された。父親に育てられた彼は、14歳で家出し、マニラでホームレスになったこともあった。だが、いろいろな人に助けられ、サウジアラビアで本格的にデザインを勉強することになる。

 

 そして、やがてデザイナーとして成功を果たしたギャザーコール氏だが、今年3月、ケソン市の自宅のバスルームで意識がない状態で発見された。死因は脳卒中だった。享年54歳。

 

 今回のミスユニバースでフィリピン代表が披露した衣装は、ギャザーコール氏の遺作の一つで未完成であったという。今は亡き母国デザイナーへの敬意を込めて披露されたのだろう。

 

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