マニラ現地紙ナナメ読み 45

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2022年9月5日

 

警察に見逃されたノーヘル同乗者の正体

 

 

[8月24日・デイリートリビューン]ある日のパラワン州プエルトプリンセサ市内での出来事。バイクを運転中のデリバリー運転手が交通違反の締まりを受けた。運転手本人はヘルメットを被っていたものの、後ろの同乗者が着用していなかったがための取り締まりだった。

 

 

 フィリピンで、共和国法第10054号または2009年のオートバイヘルメット法で、バイクの運転中のヘルメット着用が定められている。だがそ法律があるにも関わらず、ヘルメットなしの運転、いわゆるノーヘル運転が後を絶たないようだ。この運転手も、法律を守らない適当なバイク運転手の1人だとみなされ、停止を余儀なくされたわけである。ところが取締官は、特に違反切符を切るわけでもなく、注意するわけでもなく、最終的に喜んでその運転手とノーヘルのままの同乗者を解放したという。

 

 

(イメージ写真)

 

 

 これだけ聞くと、多額の賄賂を手渡したのか?とか、もしかしてその運転手と取締官は知り合いだった?とか、フィリピンあるある(?)な状況を想像してしまいそうだが、そうではない。実はこの後部座席に乗っていると思われた「同乗者」は、マネキンだったのだ。

 

 

 注文客にマネキンを届けに行く途中だったデリバリー運転手。それはマネキンにわざわざヘルメットは被せないよな、とは思うものの、ネットに挙げられている写真を実際に見てみたところ、確かに一見ノーヘルのただの同乗者に見えなくもなかった(フェイスブックでぜひ「mannequin helmet」と検索してみてほしい)。取締官が思わず停止命令をしてしまったのも無理はない。その取締官には今回のこの一件で気を緩めることなく、今後も思わずマネキンまで止めてしまうその厳しい判断基準で仕事に励んでほしいものだ。

 

 

 

さようなら、ジプニー

 

 

[8月25日・デイリートリビューン]これまで様々な人を目的地まで送り届けてきたジプニーが存続の危機を迎えている。というのも、完全に撤廃されるというわけではないのだが、ジプニーの運営・利用方法が変更され、長年親しまれてきた従来の方法ではなくなる、ということである。

 

 

 コロナ禍による打撃を受け、さらにはオイル価格の高騰に頭を抱えていたジプニードライバーたちだが、今度はジプニー制度の改定についていけないかもしれないという心配に頭を悩ませることになりそうだ。もちろんこの改定案に反対する声も多かったようなのだが、新たなジプニー、その名もeジプニーの開発はすでに進んでいるようで、今更後戻りはできなさそうである。

 

 

 従来のジプニーに比べて、新しく導入予定のeジプニーは環境に優しく、またルート変更も行われるため効率化も図れるという。つまり様々な点を考慮した上で生み出された、よりよい運営を目指すための改定案である。それにそもそもの話、別にジプニー自体がなくなるわけではないので、さようならと言うのは大げさかもしれない。だが、古びた派手な車体から黒い排気ガスをまき散らし、大きな音を轟かせながら走る、フィリピンのアイコン的存在といっても過言ではないあの乗り物を見かけなくなると思うと、どうしても少し寂しい気もするのは私だけだろうか。

 

 

ジプニー イメージ(Wikimedia Commons Public Domain)

 

 

 

TikTokチャレンジもほどほどに

 

 

[8月25日・インクワイアラー電子]近頃のSNSの影響力はすさまじいものがある。特に若者の間では、TikTok上のトレンドを知らない人はいないのではというぐらいメジャーだといえるだろう。そんな中で、どうやらフィリピンで流行っているTikTokチャレンジ(チャレンジ動画を撮影して自身のアカウントに投稿すること)に「リゴ・チャレンジ(ligo challenge)」というものがあるらしい。

 

 

 「リゴ」はタガログ語で入浴の意味。つまりこのチャレンジは、入浴とはかけ離れたシチュエーションで入浴してみる、という少々常識破りななのである。すでにこの時点で、なんとクレイジーで意味不明なチャレンジだろうかとTikTokを使いこなせていない筆者は思ってしまうのだが、これをなんとバイク運転中にやったインフルエンサーがいたのだ。しかもヘルメットを被っていない状態で、後部座席に乗っていた同乗者が運転手に対して、後ろから水をかける形で「リゴ・チャレンジ」を行った。

 

 

 これが結果的に危険運転とみなされ(ノーヘルなおかつ運転妨害なのだから当たり前と言えば当たり前)、その後結局このインフルエンサーは、警察による事情聴取を受けることとなった。さらに、今回のケースによる若者への影響を懸念した交通警察(HPG)が、バイク運転中のこのような行為は危険行為とみなされ、免許はく奪もあり得る国内全体に警告を発する事態に。

 

 

 今やSNSの時代。オンラインでフォロワーやいいねを集めて有名になるのが一種のステータスとも言えるが、このような注目の集め方はさすがに本望ではないだろう。楽しくSNSを活用し、有名人を目指すのもいいが、チャレンジ精神とハングリー精神ほどほどにしよう。

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