▶ [ラーメン店に列ができる「好景気」]
「フィリピン経済は好調」とよく言われる。物価上昇もすごい勢いだ。キハダマグロの切り身1キロが450ペソ(約1,000円)と、10年前の倍以上になった。野菜も米も大幅な値上がりで、給料の上昇がそれに追いつかず、一般庶民の生活は苦しくなるばかりという印象だ。地方に行けばますます失業者が多くなる。国内総生産(GDP)成長率や好景気感とは無縁の人たちは依然として多い。
しかし、マカティ市のモール内などに開店しているラーメン店は、一日の労働者の最低賃金466ペソ(約1,100円)近くもするラーメンに列ができるほど繁盛している。
いったいどういう層が、日本よりも値段が高いラーメンを食べることができるのであろうか。数年前までなら日本食もどきのファーストフード店がはやっていたのだが、日本食ファンの客層も着実に変わってきている。また、先端都市グローバルシティに行ってみると、デパートにはたくさんのファッションブランド店が軒を並べている。
確かに今でもフィリピンといえば「模造品天国」というイメージが強く、マニラの下町にあるディビソリア市場などに行くと中国製の偽ブランド品売り場に人だかりができている。しかし一方で、高級ブランド品がそれに負けない勢いで売れているのも事実だ。携帯電話もかつての「ノキア」人気が低迷し、代わってiPhoneやサムスン製スマートフォンが売れ筋という。
海外出稼ぎ労働者の送金で消費が成り立っているという側面は変わらないにしても、近年、フィリピン経済の何かが変わってきている。
編集: 「ナビ・デ・マニラ」 Navi Manila
▶ [2014年第3四半期の経済成長率は農業部門の不振で5.3%へ減速]
2014年第3四半期の国内総生産(GDP)成長率(速報値)は5・3%だった。フィリピン統計局(PSA)が2014年11月27日、発表した。前年同期を1・7ポイント下回り、前期の6・4%からも減速した。鉱工業、サービス両部門は堅調だったが、台風や豪雨被害の影響で農林水産部門がマイナス成長に転落した。国民総所得(GNI)は前年同期比4・2ポイント減の4・8%。第1〜3四半期のGDP成長率は5・8%となり、政府の通年目標値(6・5〜7・5%)を下回った。
PSAによると、部門別の成長率は、農林水産が前年同期比3・0ポイント減のマイナス2・7%、鉱工業が同0・1ポイント減の7・6%、サービスが同2・3ポイント減の5・4%。
農林水産部門のマイナス2・7%は、09年第4四半期以降の約5年間で最悪。ルソン地方の台風被害で、コメ(マイナス10・0%)、トウモロコシ(同5・8%)などが落ち込んだ。ココナツ(同5・8%)も台風ヨランダの影響で、前期(同4・6%)に続く減産となった。
前年同期並みの成長率を維持した鉱工業部門は、鉱業(7・8%)と建設(11・9%)が前年同期を上回り、製造(7・2%)と電気・ガス・水道(3・3%)も好調を維持した。
5%台にとどまったサービス部門は、全6業種のうち運輸・通信(5・3%)、金融(7・7%)、不動産(6・2%)など5業種が前年同期を下回った。
編集: 「ナビ・デ・マニラ」 Navi Manila