病気やけがに備えて

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2014年12月6日

 ■ フィリピンの病院で戸惑わないために

Makati Medical Center 日本の病院では治療費、検査費、手術代、薬代、医師の診察料金などすべてまとめて一枚の請求書で支払うが、フィリピンではそれぞれ別個の請求が来るので戸惑うことがある。 別個請求の理由は、フィリピンの病院システムは、治療と薬局、入院の宿泊設備や検査機器の集合体としてあり、それぞれが独立して存在しているからである。「医薬分業システム」とも「オープン病院システム」とも呼ばれている。医師はそれぞれ、病院の一室を自分のオフィスとしてレンタルし、そこで開業しているのである。日本と違ってフィリピンの総合病院の医師たちは、病院に所属する勤務医ではないのだ。 そして腕のいい医師は、複数の大病院にクリニックを開き、そこの病室や医療機器を使って治療を行うのである。入院の際の病室は、患者の経済レベルなどを考慮の上で医師が選ぶ。そしてその病室に医師が往診をしながら治療を進めるという形をとる。応援医師も時に訪れる。病室とホテルとの違いは各階にナースステションがあること。入院させた開業医の指示によって看護士や、医師のアシストをする「レジデント」と呼ばれる研修医が、患者の観察や注射、投薬などを行うために病室を訪れる。入院すると退院時に料金の明細を渡される。それらを払わないと退院を許してくれない。明細には病室レンタル料や食事代、医師の診察料、レントゲンやCTスキャン、血液などの検査料金、薬代、看護料、手術室などの施設利用料、応援診察を依頼した医師の診察料が独立して計算されて請求される。医師への診察料は病院に一括して支払うこともあれば、退院後の経過観察の時に医師から請求されることもある。マニラ首都圏のマカティ・メディカルセンターなどの総合病院に入院した場合は、退院時にこれら諸経費を支払窓口(Cashier)で一括して支払うことができる。  なお、海外旅行者保険に加入している人は、キャッシュレスの治療を受けることもできる。セブに来る前には必ず旅行者保険に加入することをお薦めする。また意識不明になった場合のため、IDを常に所持し、IDの裏に「緊急連絡先」としてセブにいる知人や家族、会社の電話番号、氏名を記載しておこう。患者が現金を持っていないと治療してくれない病院が多いからだ。

海外旅行者保険に加入者は下記が差サポートしてくれる。 JHD ジャパニーズ・ヘルプ・デスク 24時間対応 ☎(02)817-1289

編集: 「ナビ・マニラ」 Navi Manila


■ 気をつけよう、デング熱と狂犬病

 フィリピンでは、頭から上の病気と「臓」のつく病気は日本で治療を勧める人がいるくらい、医療への信頼度が高いとはいえない。持病のある人はこうした当地の医療事情を留意する必要がある。 日本にはない病気で注意しなければならないのはデング熱と狂犬病である。デング熱はいちどかかれば特効薬がなく、ひたすら高熱に耐える以外にない怖い病気である。抵抗力のない子どもだと死に至ることもある。蚊を媒介にして感染するので肌を露出するときは必ず蚊よけスプレーを塗ること。外国人がなぜかいちばん蚊にかまれる。市販のスプレー「オフ(OFF)」が一般的でセブンイレブンでも売っている。 狂犬病(ラビス)は発病すると必ず死亡するフィリピン人からいちばん恐れられている病気である。犬にかぎらず猫、コウモリなども感染するらしい。かまれたら即刻、ワクチンを打たなければいけない。ついつい野良犬や野良猫の頭をなでてしまう犬猫好きは特に注意しよう。幸いマニラやセブの大病院には狂犬病のワクチンが置いてある。


■ 貝類に気をつけよう

 フィリピンは熱帯性気候で生ものが腐りやすく衛生面が良くないので、食事やトイレなどの時にも十分に気をつけたい。特に雨期に発生する赤潮で汚染された牡蠣やタホン(ムール貝)などの魚貝類は要注意。貝毒に当たって重傷になることもある。日本料理店できちんと調理された刺身などは基本的に安心して食べられる。


■ 水はだいじょうぶか?

 首都圏や大都市の水道水は飲まないほうが良い。パイプが古くなって穴が開いている上、ポンプで吸い上げることで泥水が水道水に混入していることがあるからだ。水道水で作った氷ももちろん安心できない。セブンイレブンなどのコンビニで売っているミネラルウォーターならまず大丈夫だが、これもやはり個人差がある。不安な人は池の水でもきれいにして飲めるという、日本で売っている携帯用濾過器を持参するのががいい。しかし長期に滞在する場合には、最終的にはフィリピンの水に自分の腹を合わせ免疫力をつけていくしかない。  Centers for Disease Control and Preventionのホームページはフィリピンへ旅行する人々のために、現地で流行している病気の情報が掲載されている。旅行や出張の前には確認してから出かけたい。 下痢が数日続くときには無理せず医者にかかろう。アメーバ赤痢もフィリピンではよくある病気だ。錠剤の特効薬を服用すれば容易に直る。フィリピン滞在がない日本人の中にはこのアメーバ赤痢に一度はかかったという人が多い。通常の下痢は半日から一日でだいたい収まる。 なお生活用水は、セブやボホールの水は島全体が石灰岩質のため、そこを流れる河川水や井戸水にはミネラル分が含まれていることから硬水の傾向が強い。なので、石鹸やシャンプーの泡立ちが悪い。


■ マニラ日本人会診療所 The Japanese Association Manila, Inc.(Medical Clinic) ☎818-0880, 819-2762 Fax 819-2811 23/F Trident Tower, #312 Sen. Gil Puyat Ave., Makati City 《月曜日〜金曜日》午前8時30分〜午前11時30分 / 午後1時30分〜午後4時 《土曜日》午前8時30分〜午前11時 《日・祭日はお休み》


編集: 「ナビ・マニラ」 Navi Manila

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