民族について

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2014年11月29日

[フィリピンの民族構成はマレー系が最大]

現在のフィリピンの民族構成は大別するとマレー系、中華系、その他少数民族となる。フィリピン諸島最古の原住民は、狩猟採集や焼畑生活をするネグリト族で、約2万年前にフィリピンが大陸と陸続きになったころに渡来したとされる。現在もルソン島サンバレス州のピナトゥボ山麓に住むアエタ族などはこのネグリト系で、色が黒く低身長で頭髪が巻毛という身体的な特徴をもっている。現在のフィリピン人の多くはマレー系で、ボルネオ島や中国南部などから小船で渡来したといわれている。その後、スペインやアメリカ、中国との交易を経て混血が進み、メスティーソと呼ばれる渡来者と先住民との混血の階層が生まれてきた。
ルソン島の南にあるミンドロ島のマンヤン族、ミンダナオ島ダバオ近辺のマノボ、バゴボ、マンダヤ族などはマレー人が渡来する以前からの先住民である。

[ミンダナオ島のイスラム系住民]

フィリピン南部のミンダナオ島のバシラン島やホロ島、南ラナオ州、マギンダナオ州、スルー地方、タウィタウィ島の各地は現在も、イスラム教徒が住民の多数を占める地域である。各地にモスクがある。スペイン人がマニラの城塞都市を築いた場所にはもともと、ラジャ・スレイマンというイスラムの指導者が治めていたイスラム王国があった。キリスト教徒とイスラム教徒との紛争はその頃から始まったといえる。
マルコス政権のとき、1970年代からミンダナオはビサヤ地方の土地なし農民がどんどん入植し、開拓民が増え続けた。当然ながらもともとその場所に住んでいた先住民やイスラム教徒との間に摩擦が起こり、キリスト教徒のフィリピン国軍とイスラム教徒軍との内戦はいまもって収束していない。ミンダナオ島のイスラム地域は、外国人旅行者の渡航が禁止されている場所である。

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