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シキホールのコミュニティ防疫体験談

2020年5月5日

「黒魔術の島」「魔女が棲む島」と呼ばれるビサヤ地方シキホール州。スピリチュアルなスポットとして国内外からの旅行者を惹きつけるこのシキホールでも、コミュニティ防疫が行われています。3月にこの島を訪れ、現在もシキホールで過ごす矢木奏さんに、防疫開始からの島の様子を聞きました。(ナビマニラ編集部)

 

 

ホストファミリー宅から見た幻想的な雰囲気の夕焼け

ヒーラーの活動を見るために来比
 日本から3月6日にフィリピンに入り、ホーリーウイーク前に活発になるヒーラー(自然や霊的な力で癒し、治療をする民間療法師、Healer)の活動を見に、3月11日にシキホールに来ました。この時期に来るのは今年で3回目です。
3月中旬、マニラと同時にシキホールでもコミュニティ防疫が始まりましたが、イースターの後まで滞在予定だったのでフィリピンを離れることは考えませんでした。防疫が始まってからすぐにシキホール州の観光課に行ったところ、旅行者としてリストに名前と連絡先、ビザの期限、フィリピンから出国する航空便の日程などの情報を求められました。後日、ビザの更新について相談すると、観光課で証明書を発行するので更新の際に持参するように言われました。
シキホール州から出るための東ネグロス州ドゥマゲティ市、ボホール、セブへの船便はすぐに運航停止に。当初は海軍のチャーターボートで旅行者をセブへ送ったようですが、そのような対応はなくなりました。

 

シキホールに残った旅行者は約100名
 4月下旬の時点でシキホールに足止めされている旅行者はイギリス、フランス、スペイン、オランダ人などヨーロッパからの人が多く、約100人いるとのことです。コロナ禍で困った、帰国しなくてはという旅行者は防疫開始1週間でほとんど帰ったようです。残っているのは旅慣れている人が多く、地元の人と仲良くなって世間話に花を咲かせています。コロナ禍については皆、口を揃えて「ここにいるのが一番。来年までこの状況は続くかもね」と言っています。観光課からは定期的に状況を伝えるメールが届きます。感染者は以前1人確認され、4月下旬の時点で観察中の人が数名いるらしいです。
観光が主要産業のシキホールでは防疫が始まってから新規の客が見込めず、閉鎖している宿泊施設もあります。客がいないこの機会に改装やペンキの塗り直しをし、宿泊施設の看板などは軒並みきれいになっています。従業員を雇っていない家族経営の宿泊施設は営業しているところもあります。宿泊料が安くなっていることから、宿泊先を転々とする旅行者もいるようです。 

ブラックサタデーに薬草を切り出す地元のヒーラーと薬草収集家(ハーバリスト)。

 

 

 

 

 

ウイルスに効く薬草がある!?

バランガイ中心地のサリサリストアにあるWi-Fiマシン。1時間5ペソ

子どもが器用にバスケットボールのゴールを設置したが、ココナツの実が落ちてきて危ないとお母さんに叱られた。

 私は山間部のバランガイの知り合いの家にホームステイさせてもらっています。家族はヒーラーとしての仕事と同時にココナツ農園を営み、ココヤシ果実の胚乳 (はいにゅう)を削りとって乾燥させたコプラの販売などもしています。しかし防疫の影響で仕事が減り、銀行が閉まっていてお金が引き出せないのも困ると言っています。ホーリーウイークに予定されていた恒例の「ヒーリングフェスティバル(Healing Festival)」が中止されたことで、家族が集めた薬草がたくさん残っています。本来なら、この時期は多くの客が国内外から訪れていたはずなですが・・・・・・。地元のヒーラーはウイルスに効くハーブがあると豪語していますが、実際にそのハーブで治療やアドバイスをしているところを見たことはありません。

 

家族は森へ狩りに。
私は街へ情報収集に
 夜9時から明け方5時までの外出禁止時間を除けば、出歩くのは自由のようで、ホームステイ先の家族も海水浴に行ったり、親戚が訪れて来たりしています。仕事がなくて時間があるため家族が森へ芋掘りや狩猟に行き、サワガニのココナツ煮などいろいろな料理をふるまってくれました。防疫が始まってから街へ行くと、新しいバスケットボールのゴールが設置されていました。これは休校で自宅にいなくてはならない子どもたちのために、各家庭が工夫しているようです。
 私はホーリーウイーク前はヒーラーの日々の活動をつぶさに観察しようと気が抜けませんでしたが、イースターが過ぎてからはヒーラーの活動もひと段落したため、毎日のんびり過ごしています。朝7時起床、散歩、日誌を書く、アギマット(お守り/Agimat)制作、読書、夜9時には就寝という生活です。パンデミックの情報は1日1回バランガイの中心部へ出かけてWi-Fiに接続し、インターネットで調べています。しかしネットがとても遅いために大雑把にニュースを眺めるくらいしかできません。大事なニュースはマニラにいる友人からメールで送ってもらったりしています。今は日本にいる家族のことが心配です。
 4月中旬にはシキホールを離れる予定でしたが、コロナ禍のためあきらめました。帰国日は日本の状況を見て決めたいと思ってます。帰国前にはマニラに寄って友人とコミュニティ防疫を乗り越えたことをねぎらいたいです。

ヒーラーがココナツの殻で作ったアンティンアンティン(アギマット)

 

矢木さん制作のキーホルダータイプのアギマット。「パーツから自作し、ヒーラー に教わりながら自由に作らせてもらっています」

 

 

矢木 奏(やぎ かなで)さん 美術家。「 2013年から日本とフィリピンを行ったり来たりしていて、ここ数年は1年の半分をフィリピン、半分を日本で暮らしています」。https://sites.google.com/view/kanadeyagi/home