超簡単、5分で学ぶ糖尿病Q&A

　前回の糖尿病Q&Aの正解と解説です。

（１）糖尿病の典型的な自覚症状は？
①のどが渇く　②手足がしびれる　③特になし

　正解は ③ 特になし。喉が渇く、手足がしびれる、疲れやすいなどの症状が出たときにはかなり病状が進行していて、手遅れになる場合が多いのです。昨年の日本におけるデータで、失明が約3000人、透析導入が約15000人のうち、ほとんどの人が「自覚がなく何もせず放置していた」のが要因でした。自分が糖尿病であることを知らずに、ジワジワと病状が悪化する恐ろしい病気なのです。

（２） 糖尿病患者の運動として散歩を行う場合、最も効果的な時間帯は？
①食前の早朝　②食後１時間　③食後２時間

　正解は②食後１時間。いわゆる炭水化物（糖質のご飯やパンや麺類や菓子類や酒）を多く摂取すると、約60分で血液中に吸収されます（これを血糖と呼びます）。よって、食後１時間以内に①脳 ②心臓 ③筋肉 をフルに使うことで、高血糖を予防できます。つまり、食後すぐに横になって休む（いわゆる昼寝など）のではなく、食後１時間以内に常に体を動かす（運動や散歩など）習慣が重要です。

（３） 糖尿病の血糖チェックでベストの時期帯は？
①食前　②食後60分　③食後120分

　正解は②食後60分。食事前（空腹時）の血糖はほぼ100mgですが、食後１時間で140mg以下は正常で、200mg以上で即、糖尿病と診断されます。病態は膵臓（すいぞう）から分泌されるインスリンが血糖上昇を予防して、正常値を維持してくれます。体内で唯一血糖を下げるホルモンのインスリンがキチンと作用するためには食後の①脳と②心臓と③筋肉の共同作業（運動療法）と、食後60分の血糖をチェックすることが重要です。

（４）次のうち糖尿病患者に適した食べ物は？
①焼きそばパン　②ポテトを使ったサンドイッチ　③豚肉を使った総菜パン

　正解は③豚肉を使った総菜パン。糖尿病は急激な血糖上昇（200mg以上）で小さな血管が傷つき、血流障害で、眼底網膜細胞が破壊され失明、腎臓の血管が破壊され腎不全から透析、神経細胞が破壊され手足のしびれから手足の切断へと全身の血管や神経が破壊される恐ろしい病気です。その病態は急激な血糖上昇による小さな血管を傷つけること（これをグルコーススパイク glucose spikeと呼びます）が要因です。グルコーススパイク を起こしやすい基準をGI食（glycemic index 血糖指数と呼ばれています）といい、100が最高で80以上（ご飯やパンや麺類や菓子）で血管にキズがつきやすくなります。全ての食材にはGI値が表示されているので、ぜひ参考にしてください。焼きそばのGI値は70、ポテトは80、豚肉46 です。

（５）コンビニに売っている麺類のうち、糖尿病患者に適しているのは？
①パスタ　②焼きそば　③うどん　④ラーメン　⑤ビーフン

　正解は①パスタ。GI値はパスタが47、焼きそば75、うどん80、ラーメン65、ビーフン88です。ちなみに春雨ヌードルは30と低く、おすすめの食材です。GI食に関する書籍もあるので、活用してください。

（６） 漢字「糖」は米と唐で構成されています。「唐」の意味は？

　漢字には全て意味があります。糖＝ 米+唐ですね。「米」はデンプン（ご飯やパンや麺類や甘い菓子類などの炭水化物）を意味し、それらを食べ過ぎると血液が甘くなります（これを血糖と呼びます）。「唐」は餅をついている象形文字という説があります　唐= 广（まだれ）はお餅をつく杵（きね）を意味し、广の中は臼（うす）を意味します。つまり、臼と杵でつぶすという意味です。米をつぶすと日本酒、麦をつぶすとビール、芋をつぶすと焼酎になります。つまり、アルコールを摂取すると甘い血液になるという意味もあるのです。

（７） 身長165cm、体重70kgの方の標準体重は？

　BMI（ボディマス指数）では、BMI =70÷1.65×1.65=25.7で肥満と診断されます。もっと簡単に身長－100でチェックすることもできます。身長（165cm）－100=65kgが大まかな標準体重で、もし70kgだとしたら、70kg－65kg=５kgの体重オーバーとなります。その５kgが体内に蓄積された「脂肪の量」になり、それは、膵臓から分泌される「インスリン」が高血糖を脂肪に変化させるという「余計な仕事」の結果です。貴重な「インスリン」が無駄使いされた結果であり、標準体重の維持が必要になります。

　食事は生きる基本であり、偏った食事は糖尿病を誘発することを肝に銘じましょう。

伊藤実喜　Dr. Miyoshi Ito
医師・医学博士　
東京上野マイホームクリニック院長。STCメディカル国際クリニック（マニラ市マラテ）理事。AMIRI免疫研究所（大阪）理事。Cell Lead International （大阪）専属医師デ・オカンポ医大（De Ocampo Memorial College） 客員教授。1951年福岡県小郡市生まれ。福岡大学医学部大学院博士課程修了。レイテ島での医療ボランティアをきっかけに、フィリピン各地の貧困地区や刑務所などで「ドクターマジック」として手品ショーを取り入れた医療奉仕活動を行っている。1993年第60回奇術世界大会（カナダ・バンクーバー）優勝。
所属学会：日本臨床内科医会、日本糖尿病学会（生活指導医）、日本再生医療学会（厚労省再生医療第２種３種取得医））、日本温泉学会（温泉療法専門医）、日本旅行医学会（認定医）、日本性機能学会、日本奇術協会（芸名 Dr. Magic）、NPO日本フィリピン夢の架け橋代表