信者数十万人がブラックナザレ祭に参加 Feast of the Black Nazarene 

20140412

首都圏マニラ市キアポ教会のブラックナザレ祭りが1月9日行われ、熱狂的な信者数十万人が参加した。保健省によると人に圧されて呼吸困難に陥ったり興奮のあまり心臓発作を起こすなど、1600人を超える負傷者が出た。
聖像のプロセッション(行列)の出発地点となったキリノ・グランドスタジアムでは早朝の暗いうちから聖像を手にした信者らが結集、午前6時半ごろからステージに設置された聖壇上でタグレ枢機卿によるミサが始まった。ところが、午前7時過ぎ、ステージの右手から興奮した信者が押し寄せ、運営者側のスタッフや警官の制止を振り切って壇上に上がり、安置されていた聖像に殺到してミサが中断するという異例の事態となった。ミサの後に予定されていた聖体拝領の儀式などは中止され、聖像はそのまま運営スタッフに抱えられて山車まで運ばれ、午前8時ごろプロセッション(行列)が始まった。プロセッションにはキアポの各バランガイがそれぞれのブラックナザレを山車に乗せて参加した。山車は一昔前の手押し式でなくほとんどがトラックやバンなどの車両でできているため、行進はスムーズだった。
「オリジナルのブラックナザレ」と呼ばれるキアポ教会に安置されている聖像が近づくと、道路をびっしりと埋め尽くしたダークレッドのTシャツを着た信者らは白いタオルを振って「ビバ、ビバ、ビバ」と口々に叫び、半ば陶酔状態になる。タオルを聖像の山車に放り投げ、御利益があるように聖像にこすりつけて投げ返す行為が繰り返される。人の頭の上を人が這うようにして山車に近づくと、また別の信者がそれに続こうとして引っ張り合いになる。若い女性も数人、お尻を持ち上がれるようにして山車によじ登ろうとする。「ババエがんばれ」の歓声が起きるが、男の信者ともみ合いになり力で負けて滑り落ちる。そしてまたよじ登る。山車に結ばれた50メートルほどの麻縄の奪い合いが起こり、びっしりと埋まった人の頭上を縄が見え隠れしながら滑るように動いているのが見える。
ブラックナザレ祭りはマニラの下町にあるキアポ教会に安置されている黒いキリスト像、「ブラックナザレ」を祝福するもの。ブラックナザレ像は17世紀、スペイン植民地時代にメキシコから持ち込まれたもので、危険な航海にもかかわらず無事マニラに着いたことから、奇跡を起こす力を持つと信じられている。
キアポの周辺を行進した聖像は、約18時間後の10日午前1時半にキアポ教会前のミランダ広場に戻った。昨年より約4時間早かった。警官6000人以上が出動して車両規制や参加者の警備に当たった。この日はマニラは休校となり裁判所は半日のみ開所、普段は服装コードがあるLRT(高架鉄道)も裸足での乗車を認められた。

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● キアポへの行き方:軽量高架鉄道(LRT)に乗り、カリエド駅で下車。

「ナビ・マニラ」ニュース Navi Manila News(2014年1月9日)(Jan.9, 2014)