「百聞は一見に如かず」という言葉は、マニラにこそ当てはまるのではないか。危ない、怖いと聞かされて敬遠していた友人が、一度だまされたと思ってマニラに来たところハマってしまったという話は枚挙にいとまがない(ちょっと盛ってますが)。
先頃フィリピンで初めて動物園に行く機会があった。そのリサール州にあるアビロン動物園は、改めて「百聞は一見に如かず」という言葉を思い出させてくれた。民間が運営する動物園と聞いて、マニラ動物園も今は閉園されているというのにこのご時世でやっているのだろうか。お腹をすかせた動物がうつろな目でこちらを見つめてくるのではないか。東南アジアにありがちな動物が虐げられているような様子を見ることになるのではないか。ベトナムのホーチミン市の動物園では、ゾウを見るために近づくと、そばにいた係員がいきなりゾウをムチで打ったと聞いた。そんな光景は見たくないと思いつつ、全く期待せずに行った。だが、実際に行くと「これ本当に民間がやっているの?」と驚くほどのスケール。動物もちゃんと世話をされているようで安心した。
ライオン、トラ、キリン、さまざまな鳥、爬虫類、ワニもいる。いったい何種類の動物がいるのかはわからないが、私がこれまで行ったシンガポール動物園やシドニーのタロンガ動物園と比べても決して負けていないように思う。
一番印象に残っているのは、園内のところどころの濠(ほり)にいる世界最大の淡水魚の一つとされるアラパイマ(ピラルク)である。餌のチキンの角切りを買って与えるアトラクションがあってこれが迫力あり。もし誤って転落したら、2メートル級アラパイマの群れに食われてしまうだろう。水族館でもないのに、魚のアトラクションを楽しめるのも意外性があっていい。
そのほかよかったのは小さいカンガルー、ワラビー。きょとんとした様子や、指で体をかく仕草がかわいい。大きなカンガルーは怖いが、小さいワラビーだったら家でも飼えそうな感じである。ただいつもリビングでくつろいでいるのならいいが、ワラビーといえどやはりカンガルー。移動の時にジャンプするとなると、やはり家庭向きではないかもしれない。「手に取るな やはり野に置け カンガルー」。
コロナ禍の中、動物を見ていやされたい人は、まずぜひナビマニチャンネル動画2本立てをご覧いただきたいと思う。(T)