不幸を呼ぶ魚
[1月3日・デイリートリビューン] フィリピンで大晦日に食べるメジャ・ノチェ(Media Noche)には、さまざまな言い伝えや迷信がある。食べるものを求めてさまようイメージがあるチキンや魚を食べるべきではないというのもその一つ。しかし、この言い伝えに対して、風水師が反論する。
「すべての動物は自立し、注意深く、しっかりと生きている。よって、悪運をもたらす食べ物などなく、すべての食べ物が幸運を運んでくると考えていい。大晦日にチキンを食べたからといって困窮することはなく、不幸に見舞われることもない」。そして、魚については「メジャ・ノチェに蒸した魚を食べるのは、新年に向けて縁起がいい」という。しかし、必ずしもそうではない場合もあるようだ。
年末にレイテ州タバンゴで男性6人が、屋台で買った焼魚をつまみに酒を飲んでいた。数時間後、男性たちは胃痛に苦しみ、嘔吐し、意識を失った。病院へ運ばれたが3人が死亡。死因は食中毒。男性たちが食べた魚は地元でブテテ(butete)と呼ばれる魚、すなわちフグだった。
フィリピンでは漁業水産資源局がフグの食用には注意を呼びかけている。「河豚(フグ)は食いたし命は惜しし」は日本国外でも通用する言葉なのだろうか。
怖い奥様
[1月5日・デイリートリビューン]昨年末の12月29日、パンガシナン州カラシアオの警察に、56歳の男性が暴行を受け、ナイフで臀部を刺されて殺すと脅されたと助けを求めてきた。現場はその男性の家の中。容疑者はその男性の妻。警官が双方を落ち着かせ、結局男性は子どもの願いもあって被害届を出すのをやめた。
警察によると、家庭内暴力をふるう妻から夫を守る法律はなく、夫は身体に傷を負ってからようやく訴える傾向があるという。強く、しっかりしているイメージがあるフィリピンの女性は、かなり怖くもあるということか。
パッキャオ対コナー・マクレガー実現か?
[12月31日・フィリピンスター] マニー・パッキャオ対総合格闘技のコナー・マクレガーの一戦が、今年ドバイで開催をめざして交渉が進んでいるらしい。収益の一部はコロナ禍の被害者へ寄付されるという。パッキャオ陣営によると両者とも用意はできているとし、マクレガーもツイッターに「中東でパッキャオとやる」と投稿。
フィリピンの格闘技専門家も心待ちにしている。テコンドーのモンソウル・デロザリオ氏は、「エキサイティングな戦いになる。マクレガーに、フロイド・メイウェザーとパッキャオのどちらがパンチ力があったか聞いてみたい」と話す。レスリング協会のアルビン・アギラー氏は「パッキャオは自己中心的でなく、常に他人のことを思い、フィリピンの人々のために戦う。より多額のファイトマネーを手に入れるほど、より多くの人を助けるのがパッキャオだ」とビッグファイトの実現に期待を寄せる。
実現するとしたら、以前マクレガーがメイウェザーと戦った時のように、パッキャオともボクシングルールで戦うのだろうか。パッキャオは現役のボクシング世界チャンピオン。大きな話題になる総合格闘技選手との試合もいいけれど、本業のボクシングの防衛戦もしっかりやってほしい。そしてできれば、フィリピンで「スリラ・イン・マニラ2」をパッキャオ版として実現してほしいと思うのだが。
アムステルダムのフィリピン料理店
[1月7日・マニラブレティン] オランダ・アムステルダムにあるフィリピン料理レストラン「カリエ(Kalye)」は、オランダで生まれ育ったポーリト・ロンドロさん(40)と14歳の時にオランダに移住してきたマイク・モラレスさん(41)の店。アムステルダムにフィリピン料理店はあるけれど「よいものは少ない」のが現実。そんな中で、カルイエはアムステルダム在住フィリピン人に「フィリピン料理はこうあるべき」とうならせる。アドボチキン、レチョンポーク、ルンピア・・・・・・。「フィリピン料理を食べると、子どもの頃を思い出す。お母さんがいたキッチン、おばあさんの家の大きなテーブル。幸せな気分になれる」とマイクさん。
客層の30〜40%はフィリピン人。「フィリピン料理は家庭の味そのもの。きれいじゃなくてもいい。味が楽しめれば」と言いつつも、オランダ人や外国人客を惹(ひ)きつけるための工夫も必要になってくる。「フィリピン料理は見た目がいまいち。なので、フィリピン料理が始めての人のために甘い、辛い、酸っぱいという味が目で見てわかるようにしている」とロンドロさんは言う。
オランダに限らず、世界の料理シーンで、フィリピン料理の存在感はなぜか薄い。これは誤解か知らないだけなのか。しかし、フィリピン料理と言えば何? と聞かれて、すぐにアドボやシシグと答えることができる外国人は、タイ料理と言えばトムヤムクン、ベトナム料理と言えばフォーと答えることができる人に比べたら少ないのではないか。世界中にフィリピン人がいるのに、フィリピン料理が国際的にあまり知られていないのは不思議と言えば不思議ではないか。
東南アジアですでにタイ、ベトナム、マレーシア、シンガポールの料理はすでに国際的な認知度もあるとしたら、続くポジションをインドネシア、フィリピン料理が追っているといったところか。カンボジア、ミャンマー、ラオス料理に追い付かれないように、みんなでフィリピン料理を応援したいものである。