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ナビマニラE-book 2020.12.07
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マニラは現代アートギャラリーの宝庫。マニラのアートギャラリーのはじまりから現在にいたるまでの移り変わりをマニラ在住の美術作家・山形敦子がご案内します。
コロナ禍によるロックダウンで混乱した語学留学先としてのフィリピン。コロナ禍を経て考えるべき後悔しない学校、エージェント選びとは。マニラケソン英語学校協会の樫原貴志代表が解説。フィリピン留学、オンライン英会話の体験談も記載。
「プラントデミック」という言葉まで生まれたフィリピンの観葉植物ブーム。コロナ禍の最中に始まった空前の観葉植物人気について、フィリピンで観葉植物の生産・輸出を手がけるユニグリーンの北村一成さんに聞きました。
フィリピンで大人気のロボットアニメ「超電磁マシーン ボルテスV」が、最近ある意外な話題で登場。フィリピンのボルテスV人気を通訳・翻訳家のデセンブラーナ悦子さんが解説します。それにしてもボルテスV、恐るべし。
連載「セブ通信」コロナ禍の中、家の近くに野菜を売るベンダー(露店)が出現。簡素な店構えながら、野菜のクオリティは◎。露店の常連になったセブ日本人会・蝶谷正明さんのエッセイです。
ナビマニラ12月号/2020年(Vol.72)巻頭企画:観葉植物ブーム真っ盛り!〜Uni Green 北村一成氏インタビュー/コロナ禍を越えてフィリピンで英語を学ぶ。(マニラケソン英語学校協会 樫原貴志代表)連載コラム:フィリピノ・ワールド//#まにら散歩/セブ通信/北の町バギオから/マニラ・アート徒然/魔訶フィリピン
魔訶ふぃりぴん:マニラ湾に造成が進むホワイトサンドビーチ、「マニラベイ・サンズ」。観光客誘致が期待されるこのビーチとは対照的な、マニラ市バセコ地区の地元住民に人気のバセコビーチ。これら2つのビーチについて思うこと。
コロナ禍は、クリエイティブシティ・バギオのアーティストや手工芸の職人にも影響を与えています。そんな中、オンラインビジネスに活路を見出し、伝統工芸を守るべくいろいろな人が支援を始めました。貴重な文化を守る活動を反町眞理子さんがレポ―ト。
マニラ・アート徒然 2020.12.07
ギャラリー第1号は
近現代美術支援が目的
マニラには、現代アートギャラリーがたくさんあります。アートギャラリーがマニラに初めて登場したのは今から45年前の1975年。パサイ市にあるガレリア・ドゥエミラが第1号でした。ドゥエミラは、フィリピン人男性と結婚したイタリア人女性アートディレクターが始めたギャラリーで、フィリピンの近代・現代美術の支援が目的でした。そして、80年代初めに現在マカティ市にあるフィナーレ・アート・ファイルができ、89年に今も現役のアーティスト夫妻ソレアー・サントス、モナ・サントスが若手に展示機会を与える目的でケソン市にウェスト・ギャラリーを始めました。93年にはケソン市にフィリピン現代アートのコレクターであるホーヴェン・クアナン博士が自宅を開放し、ザ・ボストン・ギャラリーをオープン。さらに博士は2010年、マニラ郊外アンティポロに、自身のコレクションを公開したピント美術館も開館します。
80年代後半〜90年代は、オルティガスのSMメガモール4階にあるギャラリーが集まった一角「アートウォーク」が商業ギャラリーシーンの中心でした。先に紹介したフィナーレ・アート・ファイルも当初はこのアート・ウォークにあったそうです。今、アートウォークは現代アートではなく、主にインテリア向けの絵画を販売する商業ギャラリーが多く集まっています。
マニラのアート界を牽引
著名ギャラリーの揺籃期
98年、マカティ市にザ・ドローイング・ルーム、2004年には東南アジア初の写真専門ギャラリーとしてシルバーレンズギャラリーがオープンします。シルバーレンズは現在、写真だけでなく、フィリピンの現代アートを牽引する存在として海外からも注目されているギャラリーの一つです。
マンダルーヨン市で04年に始まったアート・インフォーマルは最初、アーティストが地域の人たちにアートを教えたり、アーティストたちが交流したりする場でしたが、06年にギャラリーも開きました。このほかBGCのモー・スペース、マカティ市のティンアウ・アートギャラリー、ケソン市のブラン・ギャラリー、ストリートやアングラカルチャーに特化したヴァイニル・オン・ヴァイニルギャラリーなどがオープンしたのが2000年代。今のフィリピンの現代アートシーンをリードするギャラリーが一斉にオープンした年代といえます。
2010年になるとマカティ市グリーンベルト5にアルトロモンド・アルテ・コンテンポラネア(同市チノ・ロセス・アベニューに移転)、2013年、マニラ市に1335マビニ(マカティ市に移転)をはじめ、さらに多くのギャラリーが生まれました。1335マビニは、海外からのアーティストを招聘・滞在制作プログラムなど国際交流を盛んに行い、海外アーティストの作品も多く扱うギャラリーです。現在日本を中心に活躍する日本人現代アーティストの中にも1335マビニに滞在した方が数人いるようです。
増え続けるギャラリー
若手アーティストの登竜門
2010年代にも数多くのギャラリーがオープンし、それに伴って若いアーティストも増えていきました。歴史の浅いギャラリーは、積極的に若いアーティストをデビューさせています。若いアーティストたちはそうしたギャラリーでグループ展に参加することから始めて、徐々にアートの世界で存在感を出していく。そして、先に紹介した少し老舗の大きなギャラリーで個展などを開き知名度を上げていく、というのが現在のギャラリー界隈で活動するアーティストたちの王道のようにも見えます。
マニラには現在多数のアートギャラリーが存在します。ギャラリーの開館・閉館・移転の歴史を追ってみると、マニラの文化と商業の変遷が図らずも見えてくるような気がします。ギャラリーの多くは今年の6月以降再オープンしています。予約制のところもありますが、フェイスブックなどで開館日時を確認し、マニラでアートギャラリー巡りをしてみてはいかがでしょうか。
参考文献:『フィリピンアートみちくさ案内マニラ編』(フィリピン・アート・ガイドブック・プロジェクト/2013年)
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文:山形敦子
美術作家。2012年よりマニラ在住。主にフィリピンにて個展を開催するなど活動している。
近年の主な展示に、2020年個展『Do you hear it?』Art Informal Gallery(マカティ市)、2019年Mervy Puebloとの二人展『Transcendental』カルチュラルセンター・オブ・ザ・フィリピン(パサイ市)など。
フィリピン以外での展示は、2017と2019年に群馬県中之条町で行われる中之条ビエンナーレに参加。2017年は札幌市のJRタワーホテル日航札幌で個展を開催。その他シンガポールやマレーシアでグループ展に出展している。
またミュージシャンと協業し、ライブで絵を描くライブペインティングも行う。プロフィール写真は2019年11月にマカティ市TIU Theaterで開催したジャズとライブペイントの公演『Jazz En』での公演中の写真。
2020年現在は日刊まにら新聞にも所属。最近の趣味は料理を作って美味しそうな写真を撮ること。
ウェブサイト:https://atsukoyamagata.com/