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Vol.102の記事一覧

今から約50年前、首都圏ケソン市で開催されたモハメド・アリ対ジョー・フレージャーのボクシングの一戦は「スリラ・イン・マニラ」と銘打たれ、今も語り継がれています。この伝説の試合を当時新聞記者として取材したジュン・エングレシア氏に振り返ってもらいました。

フィリピンを語るうえで知っておきたい格闘技を紹介。ソフトウェア・エンジニアとして働く傍ら、アーニス選手の育成にも取り組むケン・エイブリル・エレアザール・サラニョさんにアーニスについて聞きました。

フィリピンを語るうえで知っておきたい格闘技。今回は、武器を手に闘うアーニスを紹介。アーニスはーフィリピンの国技であり、実は世界的な認知度も誇る格闘技です。

フィリピンを語るうえで欠かせない人気スポーツの格闘技を紹介。ヤウ・ヤン・ファービレオン・パサイジムでヘッドコーチを務めるレカルト・ダクヤンさんにヤウ・ヤンの魅力について聞きました。

フィリピンを語るうえで欠かせない人気スポーツの格闘技を紹介。今回はフィリピン通の人にもあまり知られていないフィリピン発祥の格闘技、ヤウ・ヤン(Yaw-Yan)です。

フィリピンを語るうえで欠かせない人気スポーツの格闘技を紹介。今回は自身も現役ボクサーでありながらコーチも務めるフィリピン人ボクサー、ジェトロ・パブスタンさんにインタビュー。ボクシングへの思いや今後の展望について聞きました。

フィリピンを語るうえで欠かせない人気スポーツの格闘技を紹介。フィリピンの伝説的ボクサーであるガブリエル”フラッシュ”エロルデの名を冠したエロルデジムで、フィリピンボクシング事情について聞きました。

フィリピンを語るうえで欠かせない人気スポーツの格闘技を紹介。なかでも国内で絶大な人気を誇り、1923年から世界王者を輩出し続けるフィリピンのボクシングについて案内します!

バギオから車で2時間ほど行ったアトック町に残る スペイン統治時代につくられた山道、スパニッシュ・トレイル。古の人々が往来したこの山道を、写真家・ライターの高橋侑也さんが訪れました。

最近広域強盗事件に関わったとされる日本人がフィリピンから強制送還されるニュースがありましたが、フィリピンではそのような状況をどう表現するのでしょうか。フィリピンでよく聞く詐欺や犯罪について日英・タガログ語通訳のデセンブラーナ悦子さんが解説します。

本誌4月号掲載のベンゲット地方ラトリニダッドの「ストロベリー・フェスティバル」に引き続き、ナビマニラがフルーツ系フェスティバルをレポート! 今回はマカティから車で約2時間のラグナ州カラウアン町でパイナップルの祭り、「ピーニャ・フェスティバル」へ行ってきました。

フィリピンと日本をつなぐ人に直撃インタビュー。25の質問に答えていただきました。今回はキックボクサーとしての戦歴を持ち、今はフィリピンでユニークな活動をする殴られ屋KENJI さんです。

1975年10月1日、マニラ首都圏ケソン市フィリピン・コロシアム(アラネタ・コロシアム)で行われたボクシング世界ヘビー級タイトルマッチ、王者モハメド・アリ対挑戦者ジョー・フレージャーの一戦は「スリラ・イン・マニラ」と銘打たれ、今もファンの間で語り継がれる。この伝説の試合を当時新聞記者として取材したジュン・エングレシア氏に振り返ってもらった。

 

 

Witness to the Legend

“Thrilla in Manila”

 

 

On October 1, 1975, the Thrilla in Manila, the boxing world title bout between the undisputed heavyweight champion Muhammad Ali and Smokin’ Joe Frazier took place in the Philippine Coliseum ( Araneta Coliseum ). About 50 years later, the fight still attracts people all over the world. Navi Manila interviews Mr. Jun Engracia, who watched and covered the fight on the spot as a sports journalist.

 

 

 

“It will be a Killa and a Thrilla
and a Chilla when I get the Gorilla in Manila”

– Muhammad Ali

 

 

 

 

Jun Engracia ジュン・エングレシア 『デイリー・エクスプレス』『イブニング・エクスプレス』紙スポーツ担当記者を経て、『インクワイアラー』紙ニュースエディターを務めた。フィリピン大学ディリマン校ジャーナリズム専攻卒。 Mr. Engracia worked as a sports journalist for Daily Express and Evening Express, and a news editor at the Philippine Daily Inquirer. He earned a B.A. in Journalism from the University of the Philippines, Dilliman.

 

 

 

アリに単独インタビュー

 

 私は『デイリー・エクスプレス』と『イブニング・エクスプレス』紙のスポーツ記者として、スリラ・イン・マニラを取材しました。当時私は22歳。記者とカメラマンからなる5人のチームで、私はアリの担当でした。

 

 試合の1カ月ほど前から、毎日のように新聞の1面でスリラ・イン・マニラに関する記事を報じるビッグイベントです。アリ、フレージャー両者とも気候に慣れるために試合の数週間ほど前にはマニラに来ました。私たちは空港からアリの宿泊先の当時ユナイテッド・ネーションズ・アベニューにあったマニラ・ヒルトンの9階に行き、突撃でインタビューを申し込みました。すると、なんと快諾。来比後初の単独インタビューをすることができました。インタビューの内容は覚えていないのですが、アリは記者会見などでは饒舌で、ビッグマウスで知られていた一方、実際は物静かな人という印象を受けました。

 

 

スリラ・イン・マニラの舞台となったアラネタ・コロシアムは、試合当日「フィリピン・コロシアム」に改名された。現在はバスケットボールやコンサート、闘鶏の会場として親しまれている。

 

 

 

比類なきイベント

 

 

 試合は約2万人を動員したといわれています。私はリングサイドで観戦し、近くに作家のノーマン・メイラーや、著名なボクシングライターのエド・シュイラーらもいました。試合中、アリに打たれたフレージャーがマウスピースを吐き出し、席の近くに飛んできたのを覚えています。

 

 結果はご存知の通り、両者が死力を尽くし、14回ラウンド終了後にアリがTKO勝ち。私としては、どちらかを応援するのではなく、ただいいファイトを見たいと思っていました。スリラ・イン・マニラはボクシング史上最高の試合と言われますが、まさに同感です。

 

 スリラ・イン・マニラは、当時のマルコス政権による国際的なスポーツイベントの開催地として、戒厳令下のフィリピンのプロモーションに大きな貢献をしました。実際にフィリピンは1978年にバスケットボールのワールドカップや世界チェス選手権などの開催国となっています。

 

 

 私はこれまでオリンピックを3大会など、大きなスポーツイベントを取材し、多くのボクシングの試合を観戦してきました。世紀の一戦と言われた2015年のパッキャオ対メイウェザーもラスベガスで取材しましたが、興奮度という点では、どのイベントもスリラ・イン・マニラに比肩しません。そしてやはり、スリラ・イン・マニラは私の50年のジャーナリストとしてのキャリアにおけるハイライトといえるのです。

 

 

 

『イブニング・エクスプレス』紙に掲載されたエングレシア氏の記事。 (Courtesy of the National Library of the Philippines)

 

 

Exclusive Interview with Ali

 

 

I covered the Thrilla in Manila for the Daily Express and Evening Express. I was 22 years old at that time. I was in charge of covering Ali in the team of five consisting of reporters and photographers. For about a month prior to the fight, newspapers ran articles about the Thrilla in Manila in the front page every day. Ali and Frazier came to Manila a few weeks before the fight to get used to the climate of the Philippines.

 

We followed Ali after he arrived at the airport, heading to the Manila Hiton (now Manila Pavilion) on United Nations Avenue. Finding Ali on the ninth floor of the hotel, we took a chance to ask him to give us an interview. To our surprise, we got the first exclusive interview with Ali in Manila! I don’t remember what I asked in the interview, but I remember Ali was a quiet person in private although he had a big mouth in press conferences.

 

 

 

 

Nothing Matches the Excitement of the Thrilla in Manila

 

 

It is said that the Thrilla in Manila had around 20,000 spectators. I watched the fight at ringside. There were celebrities such as Norman Mailer and Ed Schuyler Jr., a notable boxing journalist from the Assiociated Press. I saw Frazier’s mouth guard knocked out and landed near my seat after he was hit by Ali.

 

 The fight was over as Frazier gave up after the round 14. Ali won by TKO. I did not root for either Ali or Frazier, but I just wanted to watch the good fight. The Thrilla in Manila is recognized as the greatest heavyweight boxing bout of all time. I agree with that. The fight also significantly contributed to promote the Philippines as an international sporting event venue during the martial law by the Marcos administration then. The Philippines later hosted the FIBA Basketball World Cup and the Chess World Championship in 1978.

 

 I have covered a lot of sporting events including the Olympics three times and boxing matches. I watched the Pacquiao vs. Mayweather bout in Las Vegas in 2015. When it comes to the excitement of event, however, nothing matches the Thrilla in Manila. Witnessing the Thrilla in Manila is definitely the highlight of my 50-year career as a sports journalist.

 

 

 

1976年にオープンし、現在も営業する商業施設「アリ・モール」(首都圏ケソン市クバオ)。スリラ・イン・マニラでのモハメド・アリの勝利を記念して名付けられた。