くまモンと日本舞踊
バギオ日比友好月間
今年もバギオ市では、「日比友好月間イベント及び七夕祭り」が7~8月に開催されました。なんと今年で9回目の開催です。また、バギオでの日本映画祭は8月24日から9月中旬に掛けて5大学を巡回上映しています。
バギオは日本と関わりの深い町で、1903年にベンゲット道路(ケノン・ロード)の建設工事に携わるために最初の日本人移民がやってきたといわれています。戦前はバギオで豊かな日本人社会を築いていた移民たちですが、第二次世界大戦で彼らの暮らしは一変しました。終戦間際には激戦地となったバギオですが、戦後73年が経ち多くの市民は戦争体験をしていない人々です。そんな中、バギオに滞在している私たち日本人に唯一できることは、戦争が二度と繰り返されないようにしていくということです。
北ルソン比日基金(アボン)、北ルソン日本人会(JANL)など、バギオと日本の友好関係に日々尽力されている方々の主催で今回のイベントは開催されました。北ルソン日本人会主催のTANABATA Festivalは、毎年フィリピンと日本に関連のあるテーマを設けて、さまざまなイベントが開催されています。今年は「戦国七夕祭り-天草四郎の乱、日本史上最大のキリシタンの戦い」というテーマで行われ、七夕祭りや文化交流イベント、バギオ博物館での展示、また日本映画の上映と多岐に渡るイベントが行われました。
一連のイベントの皮切りは、7月22日の北ルソン比日基金主催の「日比友好の日」の交流イベント。会場のバギオ・カントリークラブでは、日本で大人気のゆるキャラ、熊本県の「くまモン」が出迎えてくれ、たくさんのフィリピン人が一緒に写真撮影をしていました。バギオ市長や日本大使館の公使の方々の挨拶から始まり、両国の国歌を歌ってイベントが始まりました。熊本から三味線演奏の若草紅駒社中のみなさんと、日本人の師匠の指導を受けた日本舞踊グループ、マニラSayaw Hapon Sakura(日本舞踊・桜)のフィリピン人生徒さん4名による江戸小唄や野球拳など、三味線の音を奏でながらの演舞が行われました。
日本でもなかなか見られない日本舞踊を見られたことは、参加されたフィリピンの人々にとってたいへん貴重な経験となったはずです。また、何よりも感動したのはSayaw Hapon Sakuraのフィリピンの踊り手さんたちがほんとうに日本が大好きで、決して簡単ではない日本舞踊の練習を日々積み重ね、300人以上の観客の前で見事な踊りを披露したことです。着物をしっかりと着付け、髪型も和風に整え、日本人と見まごうほどに実に堂々とした踊りっぷりでした。
また、バギオ・シティー・ハイスクールの生徒による伝統的な踊りの発表や、フィリピン政府退職者協会によるフィリピンと日本の歌の発表、フィリピン人による合気道のデモンストレーションなど様々な出し物が行われ、会場は大盛り上がりをみせました。フィリピンと日本が文化を通して理解を深め、よりよい関係を今後も築いていけるひとつの機会となりました。
文:古城日向子(シェア&ゲストハウスTALA & 環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク」インターン)