フィリピンのタピオカ「サゴ」

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2019年8月8日

Mango Sago

 日本ではタピオカが空前の大ブームで、女子中高生たちはタピオカドリンクを飲むことを「タピる」と言うそうです。一般に「タピオカ」と呼ばれているのは、キャッサバの芋から取るタピオカデンプンを丸めたタピオカパールのことですが、フィリピンではこれを「サゴ」と呼んでいます。実をいうと厳密にはサゴとタピオカは全くの別物で、サゴヤシの木の幹から取ったデンプンから作ったものが「サゴ」なのですが、最近の「サゴ」はタピオカデンプンで作られているものが多いので、大まかに「サゴ」=「タピオカ」だと思っても良いかもしれません。

 

 実はサゴの方がタピオカよりも歴史は古く、サゴヤシについては古くは13世紀にマルコ・ポーロの東方見聞録に「スマトラには小麦粉が詰まった木がある」との記述が見られます。サゴは、東南アジアから中国、台湾、琉球やヨーロッパに輸出され、中国圏では「沙穀米」と呼ばれたそうです。のちにスペインやポルトガルが中南米からキャッサバから作るタピオカ粉を持ち込み、これらがサゴより安価なデンプンとして使われるようになったのです。

 

 フィリピンでサゴを使ったデザートには、寒天ゼリーとサゴと氷に三温糖で作ったシロップを加えたサゴ・グラマンや、マンゴーとサゴにミルクやココナッツミルクを加えたマンゴー・サゴ、柔らかい豆腐に黒蜜で味を付けたサゴを加えたタホなどがありますが、タピオカパール入りのミルクティーも、もちろん大人気で、新店舗がオープンするたびに行列ができるのは日本と同じです。最近では日本未進出の台湾発「老虎堂・タイガーシュガー」がマニラに出店し話題になりました。どの店舗も「ウィンターメロン・ティー」「クリームチーズ・ミルクティー」「フルーツティー」など様々なフレーバーを展開しており、マニラはタピオカ・ドリンク激戦区です。

 

 さて、フィリピンのスーパーや市場では、球状にして乾燥させたサゴまたはタピオカパールが買えるので、自宅で調理することもできます。
サゴの茹で方は様々ですが、ちょっとしたコツがあります。大切なのは、調理前に水洗いしないこと、それから必ず沸騰したたっぷりの湯にパールを投入することです。調理前に水洗いしたり、水から茹でたりすると、デンプンが溶け始めてしまうからです。そして、もう一つのコツは、時々かき混ぜながら10~15分茹でたら火を止め、余熱で30分置いてから水洗いして周りのドロドロを落とし、芯が白く残っている場合は、この過程を必要な回数繰り返すことです。面倒なようですが、長く茹で続けると、溶けだしたデンプンがドロドロになり、パールがくっついて塊になってしまうからです。透明に煮あがったら、水洗いして、砂糖と水(1:1が目安)で作ったシロップに漬けて味付けします。すぐに使わないものは、密封して翌日までなら冷蔵で、それ以上の場合は冷凍で保存し、いずれも沸騰した湯に入れて5分茹でて、余熱で5分置いて水洗いという方法で復活します。

 

 時間と手間はかかりますが、みなさんもぜひ自宅で「サゴって」みてはいかがでしょうか。(悦)

Tapioca Drinks

 

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