【セブ通信】惜しまれてイタリアンの名店が移転

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2022年4月5日

 

 

蝶谷正明(セブ日本人会)

 

 

 去る2月28日、我が家にほど近いアンティカ・オステリア(Antica Osteria)という小さなイタリア料理店が幕を閉じました。

 

 12年前、イタリア食材店としてオープンした時は間口一間のささやかな空間でした。当時セブには本場欧州のチーズや生ハムなどを量り売りする店がなく、手軽な値段ということもあって口コミで知られるようになりました。 そのうち入口の脇でピザを焼き、メニューも増えてきましたが、気軽にイタリアのマンマの味を楽しめる家庭的なキッチンでした。ハウスワインにコールドミートやチーズ、締めにピザやパスタを手頃な価格で楽しめたものです。

 

 20人で満席となり、奥隅はイタリア人オーナーとマネジャー専用のテーブル。彼らも飲み食いしながら気が向くと客に挨拶していました。気取らない店なのですが、地元の富裕層と外国人が主な客層で、ビーチサンダルに短パンでは入りにくい雰囲気が漂っていました。そして、約束しなくても、そこに行けば友人知人と会える隠れ家的な店でした。

 

 

看板が下ろされ、店内もがらんどうになった我が家の近くのイタリア料理店、アンティカ・オステリア。

 

 

 数年前にオーナーが高齢のためスイス人に代わりましたが、スタッフの多くはそのまま、味も雰囲気も維持され、ファンは皆ほっとしたものです。日本から人が来た時もよくお連れし、皆さんリピーターになりました。我が家の外食といえば一時期この店ばかりだったのも懐かしい思い出です。

 

 しかし、コロナ禍の影響で廃業は免れたものの、1時間ほど離れた海岸沿いに移転することになりました。閉店の数日前に久しぶりに夫婦で訪れましたが、今25歳になる息子のハイスクール時代の話などがスタッフから出て、思わず感傷的になりました。我が家のセブの歴史の中で忘れられない場所の一つです。

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