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【フィリピノ・ワールド】謎の病 Pasma パスマ

2021年6月8日

 

 

 

 

 みなさんこんにちは!Kumusta kayo? フィリピンには西洋医学では説明できないけれど、フィリピン人なら皆が知っている謎の病「パスマ(pasma)」があります。パスマの症状は手の震えやけいれん、筋肉の痛みなどです。このような症状が出る原因は、医学的には関節炎や神経、あるいは甲状腺の疾患などさまざまなことが考えられるはずですし、本当はちゃんと診察してもらった方がよいのでしょうが、フィリピンではこれら全てひっくるめてパスマと呼ばれています。

 

 

  ビサヤ地方には「パスモ(pasmo)」という言葉があって、こちらは食事をきちんと摂っていない時などにエネルギー不足で体に力が入らなくなる状態のことだそう。地域による違いはありますが、語源はスペイン語の”espasmar”(けいれんする) “espasmo” (けいれん)です。

 パスマについては以前もこのコラムで「迷信」を取り上げた際に少し触れていますが、フィリピンでは体が疲れている時や労働や運動で体が熱を持っている時に水に触れるとパスマになると信じられているので、ジムなどでの運動後は、汗が引くまでゆっくり休んでから、シャワーを浴びる人が多いです。また、メイドさんがアイロンがけをした日は、水仕事はしないのが普通。アイロンの熱で暑い作業ですし、重いアイロンを持っての作業なので腕が疲れた時に水に触るとパスマになるというのです。もっとも昔は、真っ赤におこした炭を鉄製のアイロンの中に入れて使っていたそうなので、今のアイロンとは違うと思われます。しかし、たとえ迷信であっても本人たちが病気になると信じていることを無理強いはできません。アイロンがけを頼むときは、その日の最後の仕事にして他の仕事を頼まないのが得策です。

 

夜に入浴すると毛が抜ける?

 

 

 日本でも体の「冷え」が体の不調につながるというのはよく言われることですが、フィリピンでは夜入浴するのも体を冷やすので良くないと言われます。夜洗髪すると髪が抜けると信じられており、朝シャワーを浴びるのが一般的。なので日本人が夜に入浴すると聞いたフィリピン人は、パスマになりませんか、夜洗髪すると毛が抜けますよ、と驚きます。またフィリピンでは出産後すぐ水浴びをすると産後の肥立ちが悪くなると言われ、数日から長い場合は1カ月も入浴しない習慣があります。これも身体を冷やさないためとされています。ただ、フィリピンの人たちは元々湯ではなく水を浴びるので、日本人が夜入浴するといっても、お湯だから問題ないと説明すると、納得するようです。パスマで手にしびれや痛みが出る人は、手を湯に浸して温めるのがセラピーになるということなので、湯なら大丈夫だと思うのかもしれません。

 

フィリピンの一般的な水浴び風呂。バケツにためた水をすくって行水するタイプ

 

体を冷やさない知恵

 

 

 「冷え」による不調の一つには体のコリがありますが、フィリピンでも筋肉が硬くなるコリをlamig(ラミッグ)「冷え」と呼んでおり、マッサージをしてもらうと、ここにもラミッグがある、ここにもラミッグがある、と言いながらその冷えを追い出すかのようにほぐしてくれます。

 

 また、背中に汗をかいたままにしておくと、乾く時に背中から冷えが入って風邪をひくと考えられているので、子どもから大人まで、Tシャツの背中のところに薄いタオルやbimpo(ビンポ)と呼ばれるフェイスタオルなどを入れているのをよく見ます。日本でも汗をかいたままでいると、体が冷えて抵抗力が落ちて風邪をひくと言われるので、フィリピンのこの習慣も生活の知恵だと言えるでしょう。

 

 ただし、新型コロナウイルスの流行がまだ収まらない中、背中にタオルを入れるだけでは感染症対策にはならないので、パスマが怖いなどと言わず手洗いの励行、マスク着用と密の回避を続けていってほしいものですね。

 

 

 

文:デセンブラーナ悦子 日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人男性と1992年に結婚後マニラ在住。

Twitter:フィリピン語ミニ講座@FilipinoTrivia