【フィリピノ・ワールド】発音 Bigkas

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2021年11月9日

 

 みなさん、こんにちは。Kumusta kayo?  フィリピン語は日本語と同じく母音の数も少なく、発音もはっきりしているので、日本人にとっても比較的学びやすい言語と言われます。今回はフィリピン語の発音に関する基礎知識を紹介します。 

 

 
母音

 

 現在のフィリピン語の母音は、a, e, i, o, u の5つです。フィリピン語はタガログ語を基にして作られていますが、元々使われていた文字baybayin(バイバイン)にはa(ア)と e/i(エまたはイ)、そして o/u(オまたはウ)の3つしか母音がありませんでした。つまりeとiは一つの音、oとuも一つの音として認識されていたのです。現在でもeとi、oとuが入れかわる人が多いのはそのためです。

 

 

フィリピン語の文字の祖先、バイバインのアルファベット。母音はa、 e/i、o/uの3つ。Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

 

 

鼻濁音

 

 鼻濁音は、日本語で言えば歌を歌う時や、アナウンサーが発音する際、鼻にかけて発音する「が」と同じです。例えばフィリピン語では強調を示す “nga”や 複数を示す”mga”等があります。 “nga”の発音は「ンガ」ではなく、鼻濁音の「が」です。 “mga”の発音は “ma-nga”つまり「マ」の後に鼻濁音の「が」が付いたものです。フィリピン語ではgaとngaはまったく別の音として認識されます。日本では一般に関東では鼻濁音の「が」を使い、関西などでは鼻濁音でない「が」を使う傾向がありますが、フィリピン語では使い分ける必要があります。

 

さまざまな「ン」

 

 フィリピン語の語尾に来る”-n”や”-ng”は、日本人には「ン」としか聞こえませんが、 “-n”は、舌を口蓋(上あごの上部)に押し付けるようにして鼻で響かせる「ン」で “-ng”は舌を口蓋に当てず鼻から息を抜く「ン」です。「ン」の音のあとにp、bなど上唇と下唇を合わす音が来る場合は、mと表記されます。例えば、sampu (サンプ「10」)、gagamba(ガガンバ「クモ」)等がその例です。

 

 

声門閉鎖音

 

 声門閉鎖音とは、日本語で例えれば「はっきり」の「はっ」のように喉の所で詰まる音です。フィリピン語の言葉には声門閉鎖を伴う母音が使われる場合があり、声門閉鎖を伴わないものと綴りが同じでも意味の違う言葉(同形異義語)になる場合があります。

 

アクセント

 

 アクセントには4つのパターンがあります。フィリピン語のアクセントは、英語のようにこれらの音を強調する(ストレスを置く)わけではなく、やや長めに、イントネーションは高めに発音すると考えるとわかりやすいです。

 

malumay(マルーマイ) 後ろから二音節目にアクセントが来るフィリピン語の最も一般的なパターン。例:「読む」という意味のbasa(バーサ)。

 

 

maragsa(マラグサ) 全体を早く読み、アクセントのある最後の母音が声門閉鎖音のパターン。このパターンを示す記号「^」が母音の上に表記されることもあります。つまり読み方は「バサ(ッ)」という感じになる。例:「(水などで)濡れた」という意味のbasa。

 

malumi(マルーミ) 前述のマルーマイと同様に、後ろから二番目の音節にアクセントがありますが、最後の母音が声門閉鎖音で終わるパターン。マルーミであることを示す「`」の記号を母音の上に表記する場合がある。例:「飽きた」と言う意味のsawa(サーワ(ッ))。

 

 

mabilis(マビリス) 全体を早く発音し、アクセントが最後に来ますが、最後の母音は声門閉鎖音ではなく呼気が抜ける感じで発音するパターン。マビリスを示す「′」を最後の母音の上に表記する場合がある。例:「大蛇」という意味のsawa(サワ)。

 

 

 これらのパターンを覚える必要はありませんが、-inや -anなどの接辞が付く場合、最後の母音が声門閉鎖音でない時は-hin -hanになるといった規則があるので、きちんと学びたい人には必要な知識です。普段それほど発音に神経質にならなくても通じるところがフィリピン語の良い点でもありますが、発音によって意味が変わる同形異義語については、気をつけたいですね。

 

 

 

 

文:デセンブラーナ悦子 日英・タガログ語通訳。大阪外大フィリピン語学科卒。在学中にフィリピン大学に交換留学。フィリピン人男性と1992年に結婚後マニラ在住。

Twitter:フィリピン語ミニ講座@FilipinoTrivia

 

 

 

 

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