マニラのディープな夜市&屋台グルメ「ウッグボ」が熱い!

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2023年12月18日

 

マニラでホットなナイトライフエリアはどこか? マカティやBGCやケソン市のおしゃれなバーもいいけれど、今、最も注目を集め、連日多くの人でにぎわうところ、それは首都圏マニラ市トンドのウッグボ・ストリート(Ugbo Street)だ。数年前からYouTubeやTikTokなどで取り上げられ、最近一気に人気に火が着いたエリア、ウッグボをレポート!

 

人、人、人、縁日のにぎわい

 

 

なぜ、ウッグボに毎晩多くのフィリピン人がやってくるのか。マニラ市トンドはスラムがある地域であり、ウッグボは訪れるのにも交通の便がいい場所でもない。目的はただ一つ、ストリートフードである。イニハウ(串焼き)をはじめ、たこ焼き、エビの天ぷら、ピザ、アイスクリーム、フルーツシェ-ク、ハロハロなどの食べ歩きができるマニラ随一のスポット、それがウッグボなのだ。

 

 

10月末、マカティからグラブでウッグボへ行った。夜8時、すっかり日も暮れて静かな住宅街の中、いきなり煌々(こうこう)と明かりに照らされた1本の道があり、多くの人であふれている。約50メートルにわたって両端には屋台がぎっしりと並ぶ。まさに縁日のようなにぎわいだ。

 

ウッグボ・ストリート界隈で屋台が最も多く立ち並ぶF.バロナ・Street(F. Varona Street)

 

 

トンドのようなローカル色が強いところへ行くときは、タガログ語話者がいた方が心強い。そう思って同行してもらったフィリピン人も、初めて来たウッグボの活気に驚いていた。

 

 

郷に入っては、手でつかんで食べるべし

 

 

 

「ウッグボはいつからこのようなストリートフード・パラダイスになったのか」「現在の屋台の数は」「屋台を出すにはいくら必要か」など同行者に通訳をしてもらって聞きたいと伝えていた。しかし、私たちはすっかり祭りの雰囲気に吞まれてしまい、同行者は豚の血をかためたベータマックスやらオレンジ色のウズラの卵の揚げ物クエックエッやら目にするストリートフードを片っ端から食べるモード全開で、それどころではなくなってしまった。

 

人混みをかき分けて進んでいくと、鍋に火を派手に出しながら料理している店があった。その脇の路地に設けられたテーブルは満席。これほどの人気があり、しっかり火を通して調理しているようなのでガラスの胃袋の持ち主である筆者でも大丈夫。そう思って、15分ほど列に並んでこの店で食べることにした。バナナの葉の取り皿に載せ、手で食べるブードルファイトスタイルである。

 

トンドの炎の料理人が腕を振るう。路地のテーブルで食べていると、子どもが寄ってきて食べ物をねだってきた。

 

 

皿に敷き詰められたチャーハンの上に、ゆでたエビやムール貝、焼いたイカ丸ごと1匹、そしてオクラやナス、コーンが載って出てくる。豪華なのか素朴で質素なのかよくわからない。フィリピンらしくおかずよりもはるかにライスが多く、チャーハンは甘かった。正直、シーフードの鮮度には疑問が付く。もう少し先を歩いて行けば、ブラロの店があったのでそちらにすればよかったか……。

 

シーフード、野菜、甘いチャーハン。2~3人分で299ペソ。

 

ディープなマニラに触れる

 

 

これまでカタカナでウッグボと書いて来たが、実はUgboの発音は難しい。ウグボでいいのかと思っていたら、ウッ、そしてグははっきりと発音せずにボ。ウッボと聞こえなくもない。

 

Ugboはフィリピンの西ビサヤ地方イロイロ州、カピス州、ギマラス州、西ネグロス州などで話されているヒリガイノン語(Hiligaynon)で娯楽、道楽という意味だそう。どうしてマニラのど真ん中で西ビサヤの言葉が通りの名前になっているのか不思議だが、毎日祭りのようににぎわうこのエリアにふさわしい名前だと感心する。そして、この活気を目の当たりにすると、ウッグボがタイのバンコクやマレーシアのペナン、台湾の夜市のように世界から観光客がストリートフードを求めて集まるエリアとなる可能性に期待したくなる。

 

 

トンド在住の同僚に聞くと、実はマニラ市当局はウッグボに屋台を出すことを公式には認めていないらしい。こんなアンダーグラウンド感も魅力となっている。

 

ウッグボに行くときは屋台で飲食代を払うときのことを考えて高額の紙幣よりも、50ペソや100ペソ紙幣を用意しておくと便利。ただし、胃が弱い人は食べるものに気を付けよう。また、スリや置き引きには十分注意したい。屋台は夕方5時ごろから深夜近くまで営業しているが、あまり遅くまでいるのは避けた方が無難。

 

 

日本から来た家族や友達を連れて行くにはちょっとハードルが高いウッグボだが、旅行ガイドに紹介されていないディープなマニラに触れたいなら、訪れるだけでも楽しめるはずだ。(T)

 

 

(初出まにら新聞11月25日号:掲載の情報は2023年10月末の取材時点のものです)

 

 

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